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【廉価版】サハラ 女外人部隊(1) の商品レビュー

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2010/10/16

ポルトガル軍に所属する、女性だけで構成された外人部隊「サハラ」。リーダーのフランス人・ヒステリーカをはじめとして、副官のドイツ人・ボーデンレガー、一見あどけないが殺人歴を持つ白ロシア系のプーキー、元中産階層のアメリカ白人でありながら肌を黒く変えたスージーなど、過去も国籍もひと癖あ...

ポルトガル軍に所属する、女性だけで構成された外人部隊「サハラ」。リーダーのフランス人・ヒステリーカをはじめとして、副官のドイツ人・ボーデンレガー、一見あどけないが殺人歴を持つ白ロシア系のプーキー、元中産階層のアメリカ白人でありながら肌を黒く変えたスージーなど、過去も国籍もひと癖ある女ばかりが登場する。 設定だけを見ると、「砂の薔薇」に大きく先駆けたコンセプトだが、あくまでカウンターテロという絶対的な正義を持つあちらに対し、こちらは徹底的に「傭兵」に徹している所がパッキリと異なっていて面白い。 傭兵として稼ぐためには、戦争が長く続かなければ困る。その為には無辜の一般人も、時には友軍さえ犠牲にするヒステリーカのハードさが最大の魅力。 執筆当時のアンゴラ戦線、そしてポルトガルで実際に起こったクーデターなどの事情がほぼリアルタイムで反映されているのも面白い。是非カーネーション革命前後のポルトガルの社会情勢を軽くさらいながら読む事をおさらいする。 国の事情が大きく変わり、物語途中で彼女達は傭兵から身の上を転じ、戦争のない国にあって特命を与えられてそれをこなす立場になる。それはそれで面白いし、あくまで「戦争プロフェッショナル」としての自覚を持ちながら行動することに変わりはないのだが、やはり一抹のトーンダウンは否めない気もする。 平野仁の絵は好き嫌いが大きい(特に下半身が放漫過ぎる)のだが、やはりこれはこの人の筆でなければ、と思わせる物がある。特にヒステリーカの、ある時にはマジ鬼のようで、またある時には透明感たっぷりに美しい表情に変わる様子などは、流石の筆力。 終わりがやや唐突なのが残念だが、間違いなく名作と呼べるだろう。

Posted byブクログ