龍鳳(2) の商品レビュー

河惣益巳(著者)

2018/10/12

舞台は第一次大戦前後の中国。置屋で育った主人公シンリンは、外国人の貿易商セイルと結婚し、レストランの女主人として成功をおさめていく…。2巻ではシンリンが日本に渡り、中国人として差別的な扱いを受けるなど、実際の歴史を下敷きにした、厳然たる「差別」の実態も描かれる。日本で出会う孫文など、実在の人物も現れ、歴史背景に肉付けをしている。このような時代背景の中で、女性でありながらも改革に目覚め、したたかに生きようとする姿を描くのは、非常に現代的で小気味が良い。「だったら世の中の方を変えればいいわ」シンリンの言葉は全ての鬱屈を抱える人達に向けて、痛快に響くのではないだろうか。この作者は現代ものでも、歴史ものを描かせても天下一品。とにかく華やかな絵柄で、生き生きと動く人々の姿が魅力的である。