ロストハウス(文庫版) の商品レビュー
『ダリアの帯』とも共通しますが、 登場人物がどんなにお茶目でかわいくても、 そこに描かれているのが どれほどほのぼのとした日常風景だったとしても、 どうにも拭いようのない、 ほのかな死の匂いが漂っています。 平凡で幸福な女子大生が、 突然、奇病に見舞われ、急速に老化が進行してしま...
『ダリアの帯』とも共通しますが、 登場人物がどんなにお茶目でかわいくても、 そこに描かれているのが どれほどほのぼのとした日常風景だったとしても、 どうにも拭いようのない、 ほのかな死の匂いが漂っています。 平凡で幸福な女子大生が、 突然、奇病に見舞われ、急速に老化が進行してしまう 「8月に生まれる子供」(1994年)は 女にとって、かなりホラー。
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美しいモノローグに、かわいらしい絵・・・でも本当は怖い大島弓子・・・。大好きですが、体調が悪いときは読めないですね。
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大島弓子の中ではイマイチ?だけど、 世界観自体が好きなのでまあ良かった。 この中では、タイトルにもなってるけど ロストハウスが一番よかった。 私も散らかった部屋でお留守番したいです。
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大島弓子は何を読んでも素晴らしい。 素晴らしいのだが、それを百も承知で言うとすれば、今回初めて読んだこの短編集は最高傑作(のひとつ)だと思う。 平成になってからの作品ばかりだが、とにかくどれもこれも恐ろしいほどクオリティが高い。そして、彼女らしい幻想と哲学が全開だ。 そこで...
大島弓子は何を読んでも素晴らしい。 素晴らしいのだが、それを百も承知で言うとすれば、今回初めて読んだこの短編集は最高傑作(のひとつ)だと思う。 平成になってからの作品ばかりだが、とにかくどれもこれも恐ろしいほどクオリティが高い。そして、彼女らしい幻想と哲学が全開だ。 そこで描かれるのは、世界の終りと向き合う田舎の女子高生、都会から田舎へ移住した若いカップル、若年性痴呆症にかかった女子大生などなど、なにかしら欠落を抱えた、あるいは欠落に向き合おうとする人々だ。 残酷な現実とそれを乗り越えるための幻想。 そして、跳躍はいつも意図せずふいにやってくる。 欠落はなにも変わらない。 だが世界の全てが突然輝きだす瞬間。 それらの作品のあまりの説得力に、本を閉じ、そんな奇跡にひょっとしたら自分も出会えるのかもしれない、と思う。 例えば、表題作の主人公の女の子が思うように。 「わたしは/わたしの前で/世界のドアが/とつぜん/開け放たれて/いくのを/感じていた/この世界の/どこでも/どろまみれになっても/思い切りこの世界で/あそんでもいいのだ」 そう、思い切りこの世界であそんでもいいのだった。 それをたった今思い出した。
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そう、世界は既に開かれているのだ。 様々なことに絡めとられて見えなくなってしまっているだけで。 わたしはただそれに気づくだけでいいのだ。
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大島弓子は私のエバーグリーン。この作品を読むと忘れてた記憶がよみがえるような、不思議な気持ちにおそわれる。
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「8月に生まれる子ども」 青春の真っ只中で、急に老化が始まる少女。 肉体的にも、精神的にも加速度をつけて、変化していく。 症状が進み、ついには自分が何者かということも細切れの意識のなか、ゆがんだ字で手紙を書く。 たとえこうこうと眠るだけになっても、どんな姿になろうと、最後の最後ま...
「8月に生まれる子ども」 青春の真っ只中で、急に老化が始まる少女。 肉体的にも、精神的にも加速度をつけて、変化していく。 症状が進み、ついには自分が何者かということも細切れの意識のなか、ゆがんだ字で手紙を書く。 たとえこうこうと眠るだけになっても、どんな姿になろうと、最後の最後まで生かして欲しい、という内容だったと思う。 自分なら、そんなこと思えない。絶望すると思った、、、。 初めてこの本を読んだときは、まだ学生だった。 30代の今、読み返せば、生きたいというその少女の言葉に救われる思いがする。 また、時間を置いて読み返したい。 生をまっとうすることについて、色々思いを馳せます。
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わたしの働いている意味がなくなってしまったのです なんのためにゆっくり眠ることをゆっくり歩くことをゆっくり考えることを失ってくらすのでしょう
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どれも読んだ後 ちょっと切なくなるのだけれど 「8月に生まれる子供」という話を読んだ時は 最初 とても衝撃的でした
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この中の8月に生まれる子供という作品はすごいインパクトだった。 実際、早老症というのは聞いたことがあるが、 肉体の老化と精神の老化のバランスがとれないというのは 大きな不幸だろうけれど、普通の人には見えないものが見えることが あるのかもしれない。
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