羅陵王 の商品レビュー
そう言えば読んでいなかったと、 ふと思い出した絶版本を中古で購入(1988年第2刷)。 しかし、目を通してみたら、 もしかして既に読んだことがあったのでは…… という気がしてきた。 それはさておき。 1980年代半ばに発表されたSF短編、全4編収録。 ■羅陵王(1985年 La...
そう言えば読んでいなかったと、 ふと思い出した絶版本を中古で購入(1988年第2刷)。 しかし、目を通してみたら、 もしかして既に読んだことがあったのでは…… という気がしてきた。 それはさておき。 1980年代半ばに発表されたSF短編、全4編収録。 ■羅陵王(1985年 LaLa12月号掲載) タイトルは雅楽の曲名で「蘭陵王」とも呼ばれる。 帝国評議会の名代、軍人上がりの役人モルテス青年は 蝕市(ラーフ・シティ)へ赴き、 租税として不老長寿薬(アムリタ)を 取り立てようとしていたが、 神殿の主レディ・トゥネ(見た目は幼女)は 「アムリタは神の思し召しのままに生じる」と空惚け……。 ※疫病と性と長命の問題をSFの枠組みで、 不老長寿の妙薬の秘密を 優形(やさがた)を獰猛な面で覆った羅陵王に準え、 しかも、たった40ページで描いた怪作。 ■アレフ(1985年 グレープフルーツ第23号掲載) 漫画家・徳永メイ原案、 元のタイトルは「マーテル・ノストラ」(Mater Nostra=我らの母)で、 これは脚注によると「完全自動制御受胎システム」。 「アレフ(aleph)」はヘブライ文字の第一文字目。 遺伝学者にしてカルト結社《パラディ》の主幹 アンヌ・フレイに誘拐された ジェネティック研究所の重要人物〈アレフ〉を追って USE(ヨーロッパ合衆国)から日本へやって来た ジェイムズ・ハートマン博士(♀)。 彼女は保安局主任アイ・シンに導かれ、 いかがわしい歓楽街へ。 裏社会のボスは《パラディ》の祭が終われば 〈神様〉である〈アレフ〉は解放されるというのだが……。 ■タオピ(1987年 プチフラワー11月号掲載) 漫画家・徳永メイ原案。 ワシントンDC郊外の森に佇む合衆国超能力研究所。 ユキことサイコ・クリニックのカウンセラー、 アマミヤ・ユキオの帰還。 17歳のPK能力者(サイコキノ)で性被害者の少女 シンティは加害者を死に至らしめたが、 その際の状況を説明出来る者がいないため、 聞き取りを……。 ※タオピのビジュアルはマッドメンを思い出させる(笑)。 ■緑柱庭園(エメラルド・ガーデン) 佐藤史生責任編集のオムニバス短編集 『吉祥花人(ラクシュミー)』(白泉社)掲載作。 http://www.amazon.co.jp/dp/4592131126 モルディガール帝国の女帝シルドゥーンは 殉職した近衛隊長の子カイルロッドを引き取り、 自身の愛娘・皇女シルドラの兄として養育。 カイルロッドは武勇の誉れ高い美青年に成長し、 女帝に傅く数多の愛人の一人ともなった。 だが、女帝はカイルロッドにシルドラの夫になれと告げ……。 ※美しく残酷なお伽話。 もっと細かい話は後日ブログにて。 https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/
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☆4.0 面白かったです!とくにアレフとタオピ。原案は別の方なんですね。徳永メイさん、名前覚えました。ロジカルで身の詰まったお話が好きなので、徳永メイさん原案はとても好みです。ジェンダーも勉強したいな。佐藤史生さんの作品はのびやかですね。SFでもかなりファンタジー寄りで幻想的。お...
☆4.0 面白かったです!とくにアレフとタオピ。原案は別の方なんですね。徳永メイさん、名前覚えました。ロジカルで身の詰まったお話が好きなので、徳永メイさん原案はとても好みです。ジェンダーも勉強したいな。佐藤史生さんの作品はのびやかですね。SFでもかなりファンタジー寄りで幻想的。お話は単純な構成ですが「緑柱庭園」のような多義的な終わり方もあって、80年代以上の作品をもっと見てみたいなと思いました。
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