ルードウィヒ・B(文庫版)(1) の商品レビュー
1762年、ウィーンでヨーゼフ二世の側近、クロイッシュタイン公爵にフランツという息子が生まれた。彼が産まれたとき、ルードウィヒという孔雀が「グギャア」と鳴いた声に母親が驚き、彼を未熟児で産み落として亡くなったため、彼は「ルードウィヒ」と言う名前の人や動物を恨んだ。 フランツの...
1762年、ウィーンでヨーゼフ二世の側近、クロイッシュタイン公爵にフランツという息子が生まれた。彼が産まれたとき、ルードウィヒという孔雀が「グギャア」と鳴いた声に母親が驚き、彼を未熟児で産み落として亡くなったため、彼は「ルードウィヒ」と言う名前の人や動物を恨んだ。 フランツの生まれた8年後の1770年12月、ドイツのボンでルードウィヒ・ベートーヴェンが生まれた。二人が出会った時、フランツは「ルードウィヒ」という名前に反応し、ベートーヴェンに向かって乱暴した。そのことがもとで、ベートーヴェンは難聴になった。 と、この辺はいくらなんでもフィクションだろうが、実際にベートーヴェンの後押しを一番した貴族はフランツという名前だったらしい。 なんのためにフランツを登場させたかというと、多分、貴族対平民という構図を書きたかったのかな? ベートーヴェンのお祖父さんは偉い宮廷音楽家で、お父さんも歌手だったらしいが、飲んだくれで暮らしは貧しく、ベートーヴェンを大物にしようとスパルタ教育を施しながら、口癖は「貴族なんかの言いなりになるなよ。立派な音楽家になって奴らをひざまずかせてやれ。」だった。 ベートーヴェンが物心ついたころには既に大人気だったモーツァルトに師事しようと16歳の時に会いにいくが、母危篤の報を受けて帰国し、それ以来会えなかった。また、ハイドン大先生にも教えを乞いに会いにいった。貴族への反感を持っていたが、革命の起きたフランスでは「共和主義」というものが生まれていることを知り、大学へ行って勉強し、シラーの詩に接し、「いつか、“歓喜の歌”を作るんだ。」と決心した。 ベートーヴェンの芸術と時代と文化との関わりが手塚先生の創作を織り交ぜてアニメーションのようにいきいきと描かれている。
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ベートーベンの生い立ちから書いてある。 バッハやモーツァルトに多大な影響を受け、どんどん成長していく姿が描かれている。
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未完ということで読者の想像に委ねられた、ある意味贅沢な作品。 でも個人的には手塚作品ってポップカルチャーに必要な要素であるカタルシスがいま一つな気がしてあまり好みではない。 この作品も同様な感じ。 それでも教養の豊かさをバックボーンにした作品であることは良く分かるし、稀有な作家で...
未完ということで読者の想像に委ねられた、ある意味贅沢な作品。 でも個人的には手塚作品ってポップカルチャーに必要な要素であるカタルシスがいま一つな気がしてあまり好みではない。 この作品も同様な感じ。 それでも教養の豊かさをバックボーンにした作品であることは良く分かるし、稀有な作家であることは当方如きが言うまでもないこと。
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ベートーヴェンの生涯をたどる伝記作品。最晩年の作、そして『グリンゴ』、『ネオ・ファウスト』と並ぶ未完の絶筆ながら、漫画における新しい取り組み(音楽の表現方法等)が成されていて、まるで若さが溢れているようです。「手塚先生、いつまでも成長していたんだな〜」と何だかしんみりきちゃいます...
ベートーヴェンの生涯をたどる伝記作品。最晩年の作、そして『グリンゴ』、『ネオ・ファウスト』と並ぶ未完の絶筆ながら、漫画における新しい取り組み(音楽の表現方法等)が成されていて、まるで若さが溢れているようです。「手塚先生、いつまでも成長していたんだな〜」と何だかしんみりきちゃいます。 個人的には、貴族フランツのどうしようもなく歪んだ心がユリシーズの出現によって今後どう変化していくのかが楽しみでした。
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