ガラスの城の記録(文庫版) の商品レビュー
「ガラスの城の記憶」未完作品。 普段は倫理感や社会通念などで覆い隠されている人の心の中の黒い部分、闇の部分を制御できなくなってしまった人間が、己の感情のままに振る舞ってゆく。 その自分の感情、欲望に突き進んだ先にあるのは何か、という手塚治虫の描く結末を見たかった。 一郎とヒルンの...
「ガラスの城の記憶」未完作品。 普段は倫理感や社会通念などで覆い隠されている人の心の中の黒い部分、闇の部分を制御できなくなってしまった人間が、己の感情のままに振る舞ってゆく。 その自分の感情、欲望に突き進んだ先にあるのは何か、という手塚治虫の描く結末を見たかった。 一郎とヒルンの逃避行がどこへ行き着くのか。倫理観の吹っ飛んだ一郎の上位互換であるヒルンを見て、一郎が何を思うのか。己の行状を振り返り、鏡のようで自分以上の醜悪なヒルンを見て、悩み苦しみ更生してゆくのか。更生できずに、二人で心中のように共依存になるのか。文字通り心中してしまうのか。 どんなメッセージを突きつけられるのか、が読みたかったです。
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昭和45年から連載され未完のままとなってしまった作品。破滅への片道切符みたいな内容です。どのように収束されるつもりだったのでしょうか。
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結構恐ろしいストーリー展開です。 ★高度な文明技術により脳が破損→歯止めが効かない ★愛と性からは人間は逃れられない
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初出1970~72年。冷凍睡眠装置という科学的なギミックを用いて、親に見捨てられた青年、年齢が逆転した兄弟や親子の不自然さ(血の優位性とこれに勝る経験値との相克)、殺人など規範違反をしても取り戻したい年月といった人間の業や醜猥さを描写していく。未完かぁ…。それにも関わらず読ませ、引き込ませる筆力は凄いなぁ。
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冷凍保存の弊害(脳がイカレル)による近親相姦と殺人の連鎖。 後味は悪いが巨匠がどのように決着をつけようとしていたのか興味を持たせる未完作。
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未完でありながら、手塚治虫氏の意図は読める。文明社会が引き起こす機械と人間の秩序の崩壊に対する、避けられぬ危惧を描いている。相変わらず暴力や性を描いたシーンは多く、人の在り方を考えさせられる。
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冷凍睡眠から目覚めるときに、脳の一部が損傷して、 理性がきかなくなることが判明、冷凍睡眠を禁止した後に 目覚めた一郎は肉親をレイプし、 殺人を繰り返す。 叔父の一郎にレイプされた真理は一郎を愛してしまうが、 一郎には愛情などなく、同じ2000年の冷凍睡眠から目覚めた 娼婦との快...
冷凍睡眠から目覚めるときに、脳の一部が損傷して、 理性がきかなくなることが判明、冷凍睡眠を禁止した後に 目覚めた一郎は肉親をレイプし、 殺人を繰り返す。 叔父の一郎にレイプされた真理は一郎を愛してしまうが、 一郎には愛情などなく、同じ2000年の冷凍睡眠から目覚めた 娼婦との快楽の感覚に酔いしれる。 未完の作品だけど、とても面白いテーマです。
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「ガラスの城の記憶」は、手塚作品にしては珍しく未完です。そしてこの時期(1970年代前半)の手塚作品に共通して見られるように、否定的かつ破滅的なお話です。冷凍睡眠⇒永遠の命というようなテーマ設定は『火の鳥』にもリンクしていて、実際『火の鳥:生命編』とほとんど同じ描写もあります。主...
「ガラスの城の記憶」は、手塚作品にしては珍しく未完です。そしてこの時期(1970年代前半)の手塚作品に共通して見られるように、否定的かつ破滅的なお話です。冷凍睡眠⇒永遠の命というようなテーマ設定は『火の鳥』にもリンクしていて、実際『火の鳥:生命編』とほとんど同じ描写もあります。主人公一郎の歪んだ性格が怖い…。
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とっても怖い作品。惜しいことに未完。 「ガラスの」というタイトルが示すとおり、 冷たくて硬い空気が全体を覆っています。
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未完?あまり魅力を感じなかったが過去から来た女の今後が気になった。ちょっと手塚さん独特の展開を期待してみたけど…。
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