8マン(秋田サンデーC版)(1) の商品レビュー
漫画家の桑田二郎氏の訃報に接し、しよんぼりしてゐるところであります。「桑田次郎」の名で親しんで参りましたが、いつの間にか「桑田二郎」に字を変へてゐたのですね。いかなる理由か知りませんが。 で、代表作と目される「8マン」(1963-65連載)であります。無論「エイトマン」と読み...
漫画家の桑田二郎氏の訃報に接し、しよんぼりしてゐるところであります。「桑田次郎」の名で親しんで参りましたが、いつの間にか「桑田二郎」に字を変へてゐたのですね。いかなる理由か知りませんが。 で、代表作と目される「8マン」(1963-65連載)であります。無論「エイトマン」と読みますが、正式表記は「8マン」。 8マンは文字通りの超人であります。人間の使ふ機関銃や拳銃などは通じず、速力は時速150キロで走るクルマにも並走し、透視能力を持ち、ドライブレコーダーみたいに録画・再生機能もあり、変装に関しても不可能はありません。弱点は、炎に包まれたりするなど高温下に於いて、電子頭脳をやられてしまふ事。体内には超小型の原子炉(怖い)が仕込んであり、これが動力源のやうです。体力(能力?)が落ちた際には、タバコ型の強化剤を駆使します。傍目には普通のタバコと変らぬ為、もし現在ならこの小道具はNGになるのではないでせうか。 8マンは普段は私立探偵・東八郎として活動してゐます。勿論イケメン。元元東八郎は刑事だつたのですが、或る事件にて殉職してしまひます。谷博士の手により、東八郎の人格を保つたままロボットとして生れ変つたのです。因みにこの谷博士もサイボーグであります。 で、東八郎は有事には8マンに変身して事件の解決にあたるのです。警察側の窓口は田中課長。彼の要請によつて東八郎は8マンとなり出動するのでした。東八郎=8マンと知る人物は谷博士と田中課長のみ。 東八郎探偵事務所で働くアシスタントに、さち子と一郎の二人。さち子さんは東八郎に想ひを寄せる美少女。女優の安西郷子みたいな顔をしてゐます。性格は、東八郎の発言を借りれば「すなおで気だてがやさしく だれにも好かれる人」であります。「8マンはねえ いつも心の正しい人のそばにいるのよ」といふ名言も残す。さち子に限らず、桑田二郎さんの描く女性は皆上品な美しさを湛へてゐて、わたくしは大好きなのです。 一方一郎くんはコメディリリーフでせうか。いかにも軽い性格ですが、正義感はある少年。異常な程のラーメン好き。東所長から好きなだけラーメンを食べていいよと言はれた時は、興奮して「よし十杯食べやう、いや十杯半だ」などと燥いでゐました。 8マンが戦ふ相手は、ロボット00七、デーモン博士、水沢博士(美人)、00五とドクター・ユーレイ、魔女小島ナミ、黒いちょう、そして超人類と、後になる程強敵になつてゆきます。故に最後の敵・超人類三人組(実はまだ子供なのだか、優れた頭脳の持ち主で博士号を持つ)との戦ひでは、8マンは現状の力量では勝てぬ事が判明。谷博士は8マンをやむなく殺人ロボットに改造します。8マン本人にとつても苦渋の決断でした。 そして超人類に勝利した後は、再び元の状態に再改造してゐます。しかし従来の8マンでも殺人は容易でせうに。それに殺人ロボットになつても、その力を悪用せねばいいだけの気がしますが、そこが8マンと谷博士の良心なのでせう。さういへば、8マンの「優しさ」は敵にとつては弱点となり、それで苦境に陥る事もありました。 1965年に桑田氏自身が銃刀法違反で逮捕され、急遽連載は中断、そのまま終つてしまひました。大人気を誇つてゐただけに残念な事でした。大鵬・柏戸の拳銃所持も同じ年ですね。1965年には警察が何かキャンペインでも張つたのでせうか。 ところで、後に宍戸開主演で映画になつてゐます。あまりのつまらなさに、途中で見るのをやめてしまつた事を思ひ出しました。 桑田二郎さんに、8マンをありがたうと申し上げたい心持であります......
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