きりひと讃歌(愛蔵版)(下) の商品レビュー
人間同士が相も変わらず織り成す権力闘争、遺恨、復讐の思い。その成れの果てを誰もが知りつつも繰り返されるのだから、今更にその事を云々したところでどうにかなるものではないだろう。 “差別”もそうである。差別を否定するのは簡単ではあるが、自分は何の分け隔てなく出来ているかと問われれ...
人間同士が相も変わらず織り成す権力闘争、遺恨、復讐の思い。その成れの果てを誰もが知りつつも繰り返されるのだから、今更にその事を云々したところでどうにかなるものではないだろう。 “差別”もそうである。差別を否定するのは簡単ではあるが、自分は何の分け隔てなく出来ているかと問われれば下を向かなければならない。本書に描かれている「モンモウ病」は最後まで治癒する事が無い。まるで人間の欲深さ故の病が癒される事がないように...。 「人間が犬になりさがった.....人間であろうとしても犬の生きがいしかあたえられない苦しみ.....これがほかの連中にわかりますか?」との小山内桐人の問いかけに、手塚治虫氏が本書に込めた「人間が人間である理由は、その外見ではなく、行動と理念にある」というメッセージに両手を広げ「わかります」と、迎え入れる事が出来るだろうか。私は顔を上げられない。
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手塚治虫版の『白い巨塔』と評される、医学界の権力闘争を扱った長編。登場人物の誰もが救われることのない、悲しい物語です。テーマの重さもさることながら基本的にどぎつい描写が多く、僕は中学時代に初めて読んだときから怖い印象を強く持っていました。キリスト教の受難の考えなど、深く考えさせら...
手塚治虫版の『白い巨塔』と評される、医学界の権力闘争を扱った長編。登場人物の誰もが救われることのない、悲しい物語です。テーマの重さもさることながら基本的にどぎつい描写が多く、僕は中学時代に初めて読んだときから怖い印象を強く持っていました。キリスト教の受難の考えなど、深く考えさせられる仕掛けが満載されています。
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