0 〈ZERO〉(下) の商品レビュー
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まあ、何しろ素晴らしいので読んでほしい、という感じでしょうか。上下巻で、見事に長すぎず短すぎずで見事に終わる感じ、ホンマに凄い。書きすぎないし書きたらないこともないし、いやまあ、お見事すぎる感じですね。 余りにも傑出した才能は、どうしたらエエねん? という事実の、悲劇面を、ボクシングを通して描こうとした漫画?という感じでございます。悲劇なんだろうなあ、とは思いうのですが、うむ。悲劇もこう、バンバンに突き詰めたら美しい。ということを知らしめる、スゲエ作品だと思いますね、うん。 いやしかし、いっちゃんヤバいのは五島やろう、と思わせておいて、実は。実は、、、トレーナーの荒木が実はいっちゃんヤバかった?という流れになる展開。恐るべし。 ボクシングに置いて、リングで実際に戦う存在のボクサーと、そのボクサーという存在を、いうならば「全て管理する」という意味でのトレーナーという存在との関係性。いやあ。凄いこう、凄い関係性だなあ、と。あしたのジョーでいうと、ジョーと段平のおっちゃん、はじめの一歩でいうと、一歩と鴨川源二会長、そういった関係性ね。凄いなあ、ボクシングというものは。ボクサーとトレーナーの関係性。うむ。凄い。 でもやっぱ、この作品の後に、松本大洋が、卓球マンガの「ピンポン」で、 「究極の場所というものに、新たな意味を見出した」 という風に、自分はね、勝手に解釈した流れ、が、好きです。ここでいったん、こういう結論を付けたうえで、ピンポンで、ああなった、っていうね。その流れが、とにかくもう、好きなんだなあ。 この「ZERO」での、五島VSトラビスの流れが、 「ピンポン」での、ペコVSドラゴンに、繋がっている、ってね、勝手に自分では、思っている次第なんですよ。勝手に。 とても哀しい話なのですが、有無を言わせない美しさを、見事に纏め上げた作品、だと思います。いやもうホンマに素晴らしい。「書き切ってるなあ、、、」という感慨をシミジミと受けますね。素晴らしい作品です。こういう作品に出会うと、生きてて良かった、って思いますね。大袈裟ですけれども、そういう作品です。自分にとっては。
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格闘漫画かと思ってたけど、強いって事は孤独って事を具現化してみましたってお話でした ボクシングしてるけど何だかボクシングじゃない 何とも言えないこの感じ
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松本大洋の作品の中では、若干、異質かな、と、この作品に関してはそう捉えている。けれども、いい作家っていうのは、必ずと言ってもいいくらいに、ボクシングを描くなぁ。ボクシングってのは、そんなにもそんなにも、なのかしらね。(12/3/20)
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読み始めてから読み終わるまで時を忘れてその世界に引き込まれた。 テーマ的にはピンポンに近いのだけれど卓球とボクシングの違いだろうか、賭ける物、失う物が大きいからか話の緊迫感はピンポンよりもある。 ピンポンのアクマが卓球を諦めるシーンはとても好きだけれど。 素晴らしい場所にはピンポンだとペコとドラゴンは行く。 zeroでも一応、ゴジマもトラビスも行けるけどトラビスはそこに恐怖を感じてしまう。 やっぱりボクシングだからこその孤高の境地なんだろう。 ペコとドラゴンとの比較を考えた時、そういえば松本大洋作品の一貫したテーマって人との出会いなのかもなあと思った。 今作で言われる異能者の様な人や鉄コンのクロみたいなある種の孤独の様なものを抱えた人など。 「高み」なのか「闇みたいなもの」という違いはあるのだけれど。 松本大洋を読むと創作意欲が湧くと言っていた知人がいるが、読んだ人はどうしても素晴らしい場所への憧憬を感じずにはいられないからではないだろうか。 そして実は多くの人は子供の頃にそれを感じたことがあって、だからこそ、その憧憬は強いのではないだろうかと思う。
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最後に噴出する狂気は見事。時たま挿入される例えば道端の主婦たちの会話が、その狂気をいい意味でちっぽけというか、あくまでリングの中だけという当事者性を再確認させてくれて(うまく言えないが)、松本大洋はこういうのがとてもうまい。狂気欲を言えば、対戦相手がもう少し魅力的だとより良かった...
最後に噴出する狂気は見事。時たま挿入される例えば道端の主婦たちの会話が、その狂気をいい意味でちっぽけというか、あくまでリングの中だけという当事者性を再確認させてくれて(うまく言えないが)、松本大洋はこういうのがとてもうまい。狂気欲を言えば、対戦相手がもう少し魅力的だとより良かった。
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