海神記(かいじんき)(2) の商品レビュー
第2部第1章「神懸かり」では「誓約(うけい)」が描写される。矛を持った巫女が、軍事的な同盟・協定を、巫女の言葉として宣託する。風俗が違う南洋族の海人族も、渡来人の一族も、その点では従うのである。 第2章では「漢倭奴国王」の金印埋蔵の場面から、本格的な戦争場面に移る。しっかりと鎧...
第2部第1章「神懸かり」では「誓約(うけい)」が描写される。矛を持った巫女が、軍事的な同盟・協定を、巫女の言葉として宣託する。風俗が違う南洋族の海人族も、渡来人の一族も、その点では従うのである。 第2章では「漢倭奴国王」の金印埋蔵の場面から、本格的な戦争場面に移る。しっかりと鎧をまとった百済の将軍、むなかたの国の隣国「岡」を攻め取った奴国。穴門(現在の関門海峡)の豊浦宮では、鰐(サメ)の頭を鎧にした審神者がいる。または、鵜を自分の魂として憑依する巫女もいる。学術的根拠もあるが、ほとんどは諸星大二郎の想像だ。この創造力に驚嘆する。 海神(わたつみ)は海童とも呼び、少童とも呼ぶ。わたつみに率いられて、西海の海人たちは常世を目指す。常世とはいったい何なのか? 明らかにせぬまま、韓の日矛と七支刀の2つの宝剣が、登場人物たちを東に導くだろう。 こういう世界は、200年前の弥生時代とほとんど地続きだ。私の好きな世界だ。
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