夢みる惑星(文庫版)(1) の商品レビュー
SFファンタジー。 王の私生児イリスは王位継承から逃れるため大神官となる。しかし神殿の科学技術により大陸移動による災害を予言し、人々を救うために動く。 美貌の持ち主で厭世的なのに妙に腹の据わったイリス、一族の国の奪還を目指す砂漠の王族カラ、祈りに似た踊りを披露する舞姫シリン、イリ...
SFファンタジー。 王の私生児イリスは王位継承から逃れるため大神官となる。しかし神殿の科学技術により大陸移動による災害を予言し、人々を救うために動く。 美貌の持ち主で厭世的なのに妙に腹の据わったイリス、一族の国の奪還を目指す砂漠の王族カラ、祈りに似た踊りを披露する舞姫シリン、イリスの異母弟で王となるタジオン、その婚約者フェーべ、幻術的暗殺を舞う一族のゲイル。全3巻で考えてみればそれぞれそんなに登場時間は短いのに、どの人物も台詞も考え方もしっかりしているので、心に訴えてくる。 竜が人と共存し、幻視により未来を見通す世界を幻想的な絵で描き、ファンタジーの持つ情緒をたっぷり生かした作品。世界観や社会の成り立ちや人々の生活もしっかり創られ、国同士やそれをあぶれた者たちとの駆け引きも見事。 《以下ちょっとネタバレ》 世界終末系だと預言者や、救世主となる人物は不幸な最後を迎える作品が多いけれど、これは預言者が現世での幸せを一応手に入れるのでホット安心。
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壮大な世界観で圧倒される本格ファンタジー作品。古代ファンタジーものかと思えばその枠を飛び越え未来世界を思わせる災害による世界の破滅までを描き切り宇宙規模な話へと展開する。少女マンガの域もかなり飛び越えているな…と思う。「さとう」と「しお」というペンネームはちょっとお茶目だけど。
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舞台は文明の発達した乾いた土地の中の都市と「谷」。心ならずも“大神官”となってしまったイリスが、大きな地震から人々を救う・・・。 去年、57歳で亡くなられた佐藤史生さん。 彼女のカルト的高名はもちろん存じ上げていましたが、作品は「ワン・ゼロ」を若いころに読んだきりで、しかも、SFが苦手な私にはピンと来なかったらしく、だから、何十年ぶりかの佐藤作品です。 そして・・・!! 今更ながらになんて素晴らしい世界を構築されていたのだろう、と、眩しく思うばかり。 台詞の一言、一言、コマの配置や間に、それぞれ深い意味があり、読んでいて、気持ちよく息詰まる、という不思議な体験をしてしまいました。 ネタばれです。 時代設定を、最初、太古と思って読んでいたのですが、途中からあれ??? もしかして何億年も未来の話なの??となり、結局は、有史以前、地殻変動前の地球の話と明かされた驚き。 ネタばれ終わりです。 そんな奥行きのある時代感だけでも楽しいのに、登場人物たちがまた、ホントに立体的な性格付けをなされていて、誰でもが別枠を取れば主人公になれそうなほど。 そっか、佐藤さんという人はこういう素晴らしい作品を描かれたからこそ、寡作ならが、今でも彼女を慕うファンが大勢いらっしゃるんですね。 これを読んだきっかけは、うちにお勉強に来ている中二の女の子から、凄く面白い漫画があるよ、と言われたから。その子とは萩尾望都話でよく盛り上がっていて、これは彼女のお母さんの門外不出の大事な本だったのを、なんと、ありがたいことに貸してくれたんですよ。 途中から、正座せんばかりの勢いでじっくり読み、これは何度も読みたい!と、今、アマゾンでユーズドを購入してしまいました。 来週、大学生の娘がちょっと帰省する予定だから、彼女にも読ませてよう(*^_^*)と思います。 私と好みのある子だから、きっと狂喜乱舞するのでは?ととても楽しみです。
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「いったい、人間の居住地帯を厄災が選んで見舞うというのかね?」 「選んだのは人間の方です。(中略)我々は暖かいという理由から火に掛けた鍋の底に集まったアリの群です」 阪神大震災のとき、この作品のこのセリフを思い出して、思わず身震いしたのは私だけでしょうか。(佐藤史生さん、アナタっ...
「いったい、人間の居住地帯を厄災が選んで見舞うというのかね?」 「選んだのは人間の方です。(中略)我々は暖かいという理由から火に掛けた鍋の底に集まったアリの群です」 阪神大震災のとき、この作品のこのセリフを思い出して、思わず身震いしたのは私だけでしょうか。(佐藤史生さん、アナタって恐ろしい人…Σケ 勹|||) お話の作り方も、設定のユニークさも、スケールの大きさも、そしてセリフ回しも、全て素晴らしいので、絵が苦手……と思わず、じっくり読んで欲しい作品です。(絵も、構図とか、ロ白と黒のバランスとかメリハリきいてるし、古いモノクロ映画の雰囲気があって個人的にスキなんですが……)
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古代と未来が交錯する物語の中で、重い運命を背負いつつもどこか軽やかな主人公イリス。そこが私にとってのこの作品の魅力かも。
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イリスは一体、幻視者かそうじゃないのか最後までわからなかった。自分でなまくらといいながらも要所要所で幻視能力を発揮するし。この話のポイントはそこじゃないのでどうでもいいことですが(^_^;)短編集「金星樹」に収録されている「星の丘より」で最後に地球に降り立ったミュータントたちの子...
イリスは一体、幻視者かそうじゃないのか最後までわからなかった。自分でなまくらといいながらも要所要所で幻視能力を発揮するし。この話のポイントはそこじゃないのでどうでもいいことですが(^_^;)短編集「金星樹」に収録されている「星の丘より」で最後に地球に降り立ったミュータントたちの子孫の話。「星の丘より」を読んで無くても大丈夫ですが読んでおくとより楽しめるかと。
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壮大な設定にだまされてはいけない。これは人間ドラマだと思う。たった4冊でこれほどの物語を描ききるのはすごい。 王の不義の子として生まれ、王に溺愛されながらも神殿の「大神官」として「偽の幻視者」として生きることを選んだイリス。 優れた幻視者であり、やがて起こる「大災厄」を予知しなが...
壮大な設定にだまされてはいけない。これは人間ドラマだと思う。たった4冊でこれほどの物語を描ききるのはすごい。 王の不義の子として生まれ、王に溺愛されながらも神殿の「大神官」として「偽の幻視者」として生きることを選んだイリス。 優れた幻視者であり、やがて起こる「大災厄」を予知しながらもたった一匹の竜の子のために命を落としたイリスの師ライジア。 王の正妻の子としてイリスを憎むはずが、「自分」というものをいともあっさりと諦めたイリスにむしろ苛立を感じているタジオン。 未熟ながら強力な幻視力を持つ踊り子シリン。 その他個性豊かな人間たちが生き生きと描かれている。ほんとにヘタな脚本書くよりこれを元に長期でドラマ化とかしたら面白いのになぁと思う。
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