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水古風~ニッポン人のススメ~(5) の商品レビュー

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2012/12/02

気になった箇所を備忘録的に。 ・「カタツムリ そろそろ登れ 富士の山」小林一茶の句です。サリンジャーは、東洋の思想に憧れていましたが、この句を自分の作品の中に出して、東洋哲学をこう解説しています。  人生で大切なのは結果ではなく過程だ、過程を努力することが人間の最も大切なことで...

気になった箇所を備忘録的に。 ・「カタツムリ そろそろ登れ 富士の山」小林一茶の句です。サリンジャーは、東洋の思想に憧れていましたが、この句を自分の作品の中に出して、東洋哲学をこう解説しています。  人生で大切なのは結果ではなく過程だ、過程を努力することが人間の最も大切なことで、結果は人間の与り知るところではない、と。 ・すべてに結果が出せる人間はいません。人間は途中で死ぬからです。人間は過程を努力し、楽しんでこそ、良い人生を送れると。 ・いつも笑顔でいらっしゃる...素晴らしいことだと思います。  でも、一部の子供には、それが不自然に見える時があると思うのです。  子供は、時として、大人よりもしっかり、外部とのつきあいというお面を被ります。しかし、それが全くできない子供もいます。 ・笑顔はとても大切です。でも、時として余裕のない一生懸命な顔が、必要なこともあると思います。高梨さんは自分に厳しすぎるんです。そして数馬くんにも。  高梨さんは努めて笑うように生きてきた...だから数馬くんのように笑わないで生きている子が、どこかで許せないんです。  自分だって、母親のために苦労しながら少年時代を過ごしたのに...  なぜ数馬くんは笑わない... 笑う努力をしない...  人は自分の努力したことを他人がやらないと、怒りを覚えるものです。  そんな思いを抑えながら笑いかける高梨さんの顔が...数馬くんには、お面を被っているように見えているのではないでしょうか。 ・トンネルは両方から掘り進むものです。心もトンネルと同じ...一方からでは、真ん中までしか掘れません。真ん中まで掘って、反対から掘って来る人を待つしかない...と、そのお友達に伝えてあげてください。 ・日本刀は「折れず、曲がらず、よく斬れる」が三大条件とされています。でも、折れないことと、曲がらないことは相反する性格です。  曲がらないように固くすれば剃刀のようにポッキリ折れてしまう。  折れないために柔らかくすれば針金のようにグニャグニャ曲がってしまう。  では、日本刀は、なぜ折れず曲がらず、よく斬れるのでしょうか? ・日本刀の制作は、まず皮鉄の鍛錬から始まります。玉鋼を砕いて打ち伸ばし、幾度も幾度も打ち返しては、硬い硬い皮鉄を作る。  しかし、硬い鉄は衝撃には弱い...日本刀の真骨頂は、隠されたその内部にあります。鍛えた皮鉄で、軟らかい包丁鉄と呼ばれる芯を包みこむ。これが日本刀の秘密です。 ・日本刀の内部は軟らかい...軟らかいこそ折れない。内部の軟らかい鉄、それを心鉄と呼びます。  日本人は物腰が柔らかくて、芯の強い人を尊敬します。しかし、本当に強い心とはなんでしょう?  武士はいつも凛として硬い姿を崩しませんでした。しかし、心は柔らかかったのではないでしょうか。  だから自分の身を挺してまで部下を守る...  表面が硬く強いのは、内面の心の柔らかさを守るためです。挫折したものの心の傷を知る、これも武士道なのです。  私の知人で、「日本刀」とあだ名されるほど仕事の鬼だった会社員がおられます。しかし、その人は、奥さんの看病のために会社をやめた...なんて柔らかい心でしょう。  私もいつか、日本刀のような人間になりたいと思います。 ・『葉隠』は「武士道とは死ぬ事と見付けたり」という冒頭の一節が有名で、狂信的な武士の倫理を説いた本と思われていますが、そうではありません。  「信じたものには、すべてを賭けて、死ぬ覚悟をいつも持ち続けること」そういう意味なのです。 ・日本の文化を代表するのは職人だ。職人は毎日同じことをするが、真の職人は同じに見えて、毎日違うことをしている。  毎日が発見。毎日が修行。そして、日々の過程を楽しみ、日々、心は遊んでいる。 ・日本人は知っていました。美しさは客観ではなく主観だということを...  見かけは関係ない... 何かを美しいと思える心を日々養う。そうすると、美があらわれる。

Posted byブクログ