カムイ伝 第二部(2) の商品レビュー
第ニ章は「谷地湯」(2巻-3巻)。長編の序章らしく、サル社会からゆっくりと人間社会にシフトする。谷あいの湯治場の宿の番人喜太郎が、ふと大量の金塊を手にすれば、小心者らしく金塊溜めを計画し、疑心暗鬼で殺人も犯す。しかし、それよりももっと狡猾な人間が登場する。日置藩の隣の猿投沢領一万...
第ニ章は「谷地湯」(2巻-3巻)。長編の序章らしく、サル社会からゆっくりと人間社会にシフトする。谷あいの湯治場の宿の番人喜太郎が、ふと大量の金塊を手にすれば、小心者らしく金塊溜めを計画し、疑心暗鬼で殺人も犯す。しかし、それよりももっと狡猾な人間が登場する。日置藩の隣の猿投沢領一万石、佐渡守である。彼は隣の望月藩七万石(実高10万石)領主の弟であるが、弟ということだけで小藩に甘んじているのを不満としているようだ。手近に忍者を飼い、後に分かるが幕閣の水野忠清とも友好関係、或いは懐刀的な役割を持っている。「能力あるものは、手段を選ばず出世するべきだ」という価値観を持っている。80年代、90年代の日本の一つの課題ではあるだろう(原稿完成日付は1988年10月)。ここで、初めて日置領、猿投沢領、望月領の地図が登場する。それによると、日置と望月の国境に五代木の港があり、望月から流れた川は日置に通じているのである。一つわかるのは、太平洋側に国があるということだ。(2巻252p)
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