都市国家から中華へ の商品レビュー
Posted by
昔から思っていた。春秋・戦国時代の歴史は物語みたいだ。作り話っぽいと。 この本は なぜ史実がそのような物語になったのかをある程度教えてくれている。
Posted by
殷周戦国時代について書かれています 個人的に思ったのは、著者の感情が非常に強く滲み出ていて、どうやら特定の層の読者のこの時期の歴史観を何やら正そうと戦っておられるようで、中身がアカデミックな正当性を持ちうる仕事なのかはやや疑問を持ちました 素人目の間違いなのでしょうが、よくできた...
殷周戦国時代について書かれています 個人的に思ったのは、著者の感情が非常に強く滲み出ていて、どうやら特定の層の読者のこの時期の歴史観を何やら正そうと戦っておられるようで、中身がアカデミックな正当性を持ちうる仕事なのかはやや疑問を持ちました 素人目の間違いなのでしょうが、よくできたこのシリーズのレベルからはやや少しクオリティが落ちると思われました
Posted by
春秋戦国時代の歴史を、「天下」の歴史ではなく、新石器時代の文化領域を基礎とする国家群の歴史ととらえ、様々な文献の成立背景をあきらかにしている。左伝や公羊伝、春秋や尚書などの成立年代および成立地域をあきらかにしている点には、説得力があり、春秋学や諸子百家研究にも資する所が多い。一部...
春秋戦国時代の歴史を、「天下」の歴史ではなく、新石器時代の文化領域を基礎とする国家群の歴史ととらえ、様々な文献の成立背景をあきらかにしている。左伝や公羊伝、春秋や尚書などの成立年代および成立地域をあきらかにしている点には、説得力があり、春秋学や諸子百家研究にも資する所が多い。一部漢文の読み誤りがあると指摘されているようだが、本書の価値は損なわれないと思う。
Posted by
著者が平勢隆郎というだけでおもしろいことがわかる。 かれの『よみがえる文字と呪術の帝国:古代殷周王朝の素顔』(中公新書2001年6月)で、中国での国家規模の年代設定すら覆しなにかと曖昧であった殷周時期についての詳細な研究結果を目の当たりにし強い衝撃をうけた。 読む前から...
著者が平勢隆郎というだけでおもしろいことがわかる。 かれの『よみがえる文字と呪術の帝国:古代殷周王朝の素顔』(中公新書2001年6月)で、中国での国家規模の年代設定すら覆しなにかと曖昧であった殷周時期についての詳細な研究結果を目の当たりにし強い衝撃をうけた。 読む前からわくわくする書は久しぶり。 本書は、前掲の新書での内容をふまえ、さらに中国研究に欠かせない春秋三伝の解釈とその成立について、伝統に偏りがちな通時的とらえ方に否をとなえ、共時的ともいうべき殷周時期の実態を説いている。 この春秋三伝にこれまでにない新しい姿をみるということは、中国研究の根幹をなす経学(その中での春秋の重要度はきわめて高い)の革新すらうながしかねない大きなもの(その革新さといったら、世が世なら思想犯としてぶち込まれてもおかしくないほど)。 これまで言外の意ともいうべき意味をさまざまに探求する、いわば解釈論的立場が強かった経学(極言すればこれこそ中国における伝統的な学問の姿)について、解釈ではなく、そもそも春秋とその伝は「なにか?」という出発を実証的研究でもって具体的に提示しているのだ。 中国でながらく行われてきた経学と同じ方法をとろうにも、現代日本人はもちろん中国人にもあまりに伝統の荷が重すぎ(現代人には日中関係なく戦前文人の基礎教養が決定的に欠けてますから)、先行研究の読解だけで人生を費やすこと必定。ならば、本書でしめされたようなこれまでは異なるアプローチによる研究の重要さと発展性につよい期待を抱かずにはいられません。 わたしが平勢の学術論文には目を通していないためもあるかもしれないが、あまりに斬新な春秋の解釈に(平勢自身本書で読者のとまどいを予期しているが)、にわかに首肯しがたい気持ちも生じるが、なるほどまとまりのよさではこれまで読んできた当該時期の説明よりもよほどしっかりと構築されているようにおもう。 そのまとまりのよさ、あまりに理論整然としすぎている点こそが、きっと違和感の抱く最大の要因だろう。 しかし、いくらそのような気持ち悪さがあっても本書が説く内容に惹かれてしまう。おもうに、中国、歴史などいった分野をはなれた「学問」のおもしろさを存分に堪能できるのが本書であろう。 いやはや、この講談社の「中国の歴史」シリーズはすばらしい。中国に少しでも関わる人間はすべからくこれらを読み、己の中国観構築の材料としなければならないのではないでしょうか。 中国人も近現代史の戦争問題について教科書問題として騒ぎ立てる前に、日中共々、これまでの中国史の定説の検証からはじめないといけないのでは、とおもってしまいます。 Amazon(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062740524/qid%3D1125052928/249-0654030-3489111)で、ryo_i_ 「漢文を知らずに中国は語れない」というレビューでは本書での引用文献のあつかいについての誤りが指摘されていた。あたってみるとたしかに…。これは至急に訂正すべきであろう。(本書は、一般向けということで仕方ないのかもしれないが、引用文献はすべて原文の方が読みやすい。書き下し文自体がひとつの解釈の提示であるから、原文と書き下し文の併記が日本においてはもっとも資料としては効果的だろう。)
Posted by
- 1