逃亡くそたわけ の商品レビュー
若い男女の、恋愛でもなく友情でもない、連帯感でもなければ、ただ身を寄せ合うだけでもない。その互いを思い合う独特な感じ。昔読んだ『沖で待つ』もこんな感じだった気がする。
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YouTubereが紹介していて、気になっていた作品。病院から逃げ出す大学生の女の子と巻き添えのように一緒に逃亡する若いサラリーマン。二人とも精神疾患を患っているんだけど、病院で閉じ込められ管理されるより、先行きも見えずに逃亡している方がずっと精神的に良い作用があるように感じた。
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何も起きないお話。行程を楽しみ、ラストに一緒に 'くそったれ!'と叫ぶ。正にロードムービーのようだった。
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度胸を決めて、とにかく苦痛な場所から脱出する。花ちゃん(双極性障害)となごやん(鬱病)が一緒に病院を抜け出し、逃亡犯よろしく九州各県を移動。逃げたから今がある。まっとうな人生へ続く。
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続編の「まっとうな人生」というのを読んでみたくて、その前にこれ。 背景は笑ってられない辛さなんだろうけど、馴染みのある地名が次々出てきて楽しい。 納得感って大事よね、と前にもまして思う今日この頃。
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続編が出たので読む前に再読。 精神科病院から脱走した二人…花ちゃんとなごやんは、なごやんの車(ルーチェ)で福岡から鹿児島まで逃亡する。九州人としては馴染のある地名が次々出てくるのが楽しい。 二人の病(花ちゃんは躁状態で入院し、なごやんは鬱で入院)が何から発したのかは詳しく書かれ...
続編が出たので読む前に再読。 精神科病院から脱走した二人…花ちゃんとなごやんは、なごやんの車(ルーチェ)で福岡から鹿児島まで逃亡する。九州人としては馴染のある地名が次々出てくるのが楽しい。 二人の病(花ちゃんは躁状態で入院し、なごやんは鬱で入院)が何から発したのかは詳しく書かれていないし、二人がこれからどうなるのかに至っては全く分からないまま。 花ちゃんが何から逃げたいのか。頭の中で繰り返し聞こえる『亜麻布二十エレは上衣一着に値する』という声なのか、自分の頭の中で自分を殺す相談をしている人々からなのか、患者がみんな『固められる』と言っている薬からなのか、『普通』になれないことからなのか。 感情の起伏が激しい(病気のせいなのか元々の気質なのか)花ちゃんにどこまでも付き合うなごやんの優しさが光る。だがなごやんだってヤマビルに驚いて花ちゃんを置いてきぼりにしかけたり花ちゃんに怒ったりもしている。 博多で生まれて博多を愛している花ちゃんは標準語は話せるが頑なに博多弁を使い、逆に名古屋生まれだが東京に帰りたいというなごやんは頑なに名古屋弁を話さない。病も考え方も真逆な二人だ。 二人のドライブは時にクライムサスペンスのようなギョッとするようなこともしでかすし、時にほのぼのし時にしんみりしたりもする。 途中で出会ったメンタルクリニックのライオン先生が格好良かった。二人を一目見て『脱走兵か』と見破ったにも関わらずドンと構えていた。 『いや、びびんない?そういうの。みんな普通に働いてるんだぜ。俺たちがこんな…』 『川で溺れたりしかぶったりしとうときに?』 『みんな普通にガッコ行ってるんだ。それで恋愛とかバイトのはなしばっかりしてるんだ。ばかみたい。 でも、そのばかみたいな生活はもう、あたし達の後ろではなく目の前に来ている』 逃げているのに行き詰まり後悔し、だが求めていたものとは違ったものをいくつも見つけた二人の旅。簡単に解決する病ではないだけに先のことは答えは出ない。 彼らがこの旅で何を思いどうその後を過ごしたのか、続編が楽しみになった。
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続編が出版されたということで まずはまだ読んでいなかった2005年に出版された「逃亡くそたわけ」を読む。 花ちゃんとなごやんの九州を南へ南へと下る逃亡劇。 ときにはそんなことしていいのと思わせる犯罪を犯しながら、 どこか悲しくて滑稽なあてのない旅か続く。 作者自身も患っていると...
続編が出版されたということで まずはまだ読んでいなかった2005年に出版された「逃亡くそたわけ」を読む。 花ちゃんとなごやんの九州を南へ南へと下る逃亡劇。 ときにはそんなことしていいのと思わせる犯罪を犯しながら、 どこか悲しくて滑稽なあてのない旅か続く。 作者自身も患っているという双極性障害という病気がリアルに表現されていて その辛さを実感する。
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「まっとうな人生」を読みたくて、その前に。 書かれている問題は大きいと思うけれど、そんな感じはしなくて楽しく読める。(のがいいのかどうかはわかりませんが…) 「なごやん」(お饅頭の方)とか名古屋の地名には親しみを感じ、花ちゃんの博多弁、そして二人の道程の描写に、いつか阿蘇に行...
「まっとうな人生」を読みたくて、その前に。 書かれている問題は大きいと思うけれど、そんな感じはしなくて楽しく読める。(のがいいのかどうかはわかりませんが…) 「なごやん」(お饅頭の方)とか名古屋の地名には親しみを感じ、花ちゃんの博多弁、そして二人の道程の描写に、いつか阿蘇に行ってみたいという気持ちが強くなりました。
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亜麻布二十エレは上衣一着に値する。。 繰り返される幻聴が、双極性障害を病む主人公あたしの不安や恐怖や焦りを、この病気の知識のない読み手にもリアルに伝えてくる。 鬱病のなごやんとの、当て逃げ食い逃げ畑泥棒万引きなどなんでもありの行き当たりばったりのやけっぱち逃避行。終わりが来るの...
亜麻布二十エレは上衣一着に値する。。 繰り返される幻聴が、双極性障害を病む主人公あたしの不安や恐怖や焦りを、この病気の知識のない読み手にもリアルに伝えてくる。 鬱病のなごやんとの、当て逃げ食い逃げ畑泥棒万引きなどなんでもありの行き当たりばったりのやけっぱち逃避行。終わりが来るのは周知のこと、戻ったら現状より事態が悪化するかもしれないのも勘づいてるけれど、こうするしか道がない切羽詰まった衝動感、焦燥感が満ち満ちてて、とにかく頑張れ生き残れと応援したくなった。 2人の間の不穏で不器用な優しさが愛おしい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
精神科病院に入院中の、花ちゃん(21才大学生、躁鬱病)が、なごやん(24才会社員、うつ病)を誘い、病院を脱走し、彼のオンボロ車で九州中を逃走する。花ちゃんは、時折強い幻聴に苦しみ薬も十分になくしんどそうでしたが、何からそんなに逃げているのかな・・・? 花ちゃんの博多弁と小気味良い二人の会話に、さっくり読めました。二人がプラトニックな関係のままだったのも良かったのかも。絲山さん自身が病気を公表しているので、その点、リアル感がありました。面白かった。
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