朝鮮民族を読み解く の商品レビュー
1995年に初版出版されたもので、2005年にちくま学芸文庫版に収録された。そのため、20年以上も前の韓国、北朝鮮ではあるが、その核というものは変わっていないのではないか。文庫版あとがきに、その変化が章ごとに綴られている。韓国は宗族を社会の細胞としている。男子の血族のことである。...
1995年に初版出版されたもので、2005年にちくま学芸文庫版に収録された。そのため、20年以上も前の韓国、北朝鮮ではあるが、その核というものは変わっていないのではないか。文庫版あとがきに、その変化が章ごとに綴られている。韓国は宗族を社会の細胞としている。男子の血族のことである。そのため、嫁は夫の血族には入らない。婚家の姓と違うので、現代的だと誤解する人もいるが、男尊女卑の現れである。四代祖先を同じくする血族を堂内(집안)といい、それより外の人とは関係が薄くなる。これがウリ(우리)で、外の人がナム(남)他者である。知人(아는 사람)、同郷同学(동향)、宗族、門中、堂内の順に内になるという。また、朝鮮王朝では朱子学が国家の教義として据えられ、儒者が国を指導した。徳に外れた王は儒臣によって降ろされた。儒教を尊ぶことで、中華から外れた国は夷荻であり、禽獣に近いと考えられた。日本は夷荻であり、そのため侮蔑の対象であった。その日本に併合されたのであるから、恨(한)は深いのだろう。
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元々の本は今から15年前にでた本だし、文庫版ですら今から7年も前の出版で、文庫版のためのあとがきの内容ですら今に追いついていないと思わせるところもあるが、著者の専門である思想史の知識に裏打ちされながらも平易な文体で書かれる朝鮮の人々の考え方には、腑に落ちるところもあり勉強になった...
元々の本は今から15年前にでた本だし、文庫版ですら今から7年も前の出版で、文庫版のためのあとがきの内容ですら今に追いついていないと思わせるところもあるが、著者の専門である思想史の知識に裏打ちされながらも平易な文体で書かれる朝鮮の人々の考え方には、腑に落ちるところもあり勉強になった。
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朝鮮人の言動、行動、それらの要因となる底流にある思想とその歴史的過程、北朝鮮の主体思想とは何なのかなど、論旨が明解でわかりやすく、非常に面白かった。 地理的にも近く、在日の朝鮮人を多く抱える日本に住むものとしては読んでしかるべき本だと思う。
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日常些事から思想を経由して歴史へ至る一貫した説明には説得力がある。著者の愛情のなせる業か。ときに戯作調の文体も良い。
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