禁じられた福音書 の商品レビュー

エレーヌペイゲルス(著者),松田和也(訳者)

2024/01/18

同じペイゲルスによる「ナグ・ハマディ写本」と同じ趣向だが、前著からさらに新しくわかった事実を加えさらに詳しく描いている。初期キリスト教がどのように形作られていったのか、端的に言うと正統派がなぜトマスでなくヨハネを選んだのか。そこに神の摂理があったと考えるのは、やはり後付けなのだろう。歴史は勝者によって作られる。

2016/04/09

トマスの福音書、
近年エジプトで発見された外典、
ヨハネの福音書はこの福音書に反論するするかために書かれた、とあっては興味を持たない訳にはいかない。

ちょっと記述が散文的でわかりにくかった。
トマスの福音書の具体的な文言や内容をふまえないと、
この作品にかかれているトマス（とヨハネ）の福音書をとりまく時代背景や、
その後のキリスト教の教義の変遷やローマ帝国の国教化への流れの説明がよくわからない。

個人的には、
ユダヤ教のカルト宗教であったキリスト教が、生き残って世界に広がっていったのは、
その聖性や正当性にあるのではなく、
体制の固定化に利用しやすいものを持っていたからだと思っていたが、
『トマス』ではなく『ヨハネ』が選ばれたことはこの考え方を支持するものだと思う。