アフリカ人ルカンガ・ムカラのドイツ奥地への調査旅行 の商品レビュー
ルワンダの黒人が文明国であるドイツを旅して自国の王に報告書を送る、という設定のフィクション。 自分の国と比べて、「文明国」では無意味で馬鹿馬鹿しいことが行われているとして書かれていることはかなり刺さる。 文字が読めるようになったが、くだらないことを書くことを禁じていないためくだら...
ルワンダの黒人が文明国であるドイツを旅して自国の王に報告書を送る、という設定のフィクション。 自分の国と比べて、「文明国」では無意味で馬鹿馬鹿しいことが行われているとして書かれていることはかなり刺さる。 文字が読めるようになったが、くだらないことを書くことを禁じていないためくだらないものが書かれ、読まれている。「著述してその書かれたものを売る人の中には、読者に必要不可欠なことを言うためにではなく、結構な額のお金を得るためだけに著述するという人があまりにも多い。そのために彼らは読者にへつらい、読者の気持ちを刺激して惹きつけます。その結果、最も愚かで怠惰なものでさえも必ず自己満足するような世界について読者に語るのです。」 この本が書かれた時代は1921年。 インターネットの登場で、状況はさらに 悪化している。 便利になった反面、無駄な作業と無駄なストレスに囲まれているし、便利なっても増えた手間の分損しているのではないか、という指摘。 とはいえ、作者は文明を、全否定しているわけではない。ムカラは種痘の価値が理解できないなどのくだりもある。 第一次世界大戦後、ワイマール共和国の初期に出版されている。穏やかで、社会改革を訴えても危険を感じることがなかった時代の空気も感じる。
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