ビルマ軍医戦記 の商品レビュー

三島四郎(著者)

2018/04/11

軍医を知りたくて、昔に買ったものをやっと読んだ。積読多すぎ。

蠅の帝国や蛍の航跡を読んだ後に手記を読むと、何か書いていない部分があるような気がしてならなかった。

それにしても好奇心旺盛で、いろいろなものを食べようとする人である。
軍医なのに！って怒られているところがなんとも笑ってしまうけれど、笑っちゃいけない。とにかく腹が減っているのである。
軍隊は軍隊そのものを批判されるが、そこはただ人間社会が濃縮されているだけで、私たちの知る世界と変わらない。求められる要領も、仕事の仕方も、上司の威厳も。

食ったり女としゃべったり歌ったり踊ったり。そういう場面が多いのだが、時々すっと戦争が入ってくる。でも著者は全部は書けなかったのだろう。昔、戦記物は行間を読めと言われたけれど、この本は行間こそにたくさんの戦場があった。

帰ってこなかった人たち、帰還しても何も話さずにこの世を去った人たちが行間にいた。