日本語はどこから生まれたか の商品レビュー
日本語のそもそものル…
日本語のそもそものルーツをたどれば行き着く先はどこなのか。現代の日本語の祖先ともいうべきところへ。
文庫OFF
本書はフランス語・フランス文学者の工藤進が、日本語の起源を印欧語の祖先に求め、その可能性を議論した本である。 古代印欧語は共通の印欧祖語から分岐した言語であり、またアラビア語などのセム系言語と共通の祖先を持つのではないか、ということが言われている。 それを進めて、すべての言語が...
本書はフランス語・フランス文学者の工藤進が、日本語の起源を印欧語の祖先に求め、その可能性を議論した本である。 古代印欧語は共通の印欧祖語から分岐した言語であり、またアラビア語などのセム系言語と共通の祖先を持つのではないか、ということが言われている。 それを進めて、すべての言語が一つの祖語に収斂するという説があり、本書はその立場において上代日本語と古印欧語の共通点をさぐろうとする。大野晋は日本語のタミル語起源説を唱えたが、本書はそこまで極論に走らずそれを包括するような立場で議論を進める。 言語系統論につきものなのか結構こじつけっぽいところも見られるが、「印欧語の活用語尾や日本語のカ変・サ変動詞は指示代名詞に由来している」など、この業界の定説がいろいろ記されていて非常に興味深い。全体としてまとまりに欠けるが文章はわかりやすく読みやすいので★4つとする。
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[ 内容 ] 最新の遺伝子研究によれば、現代のヒトの起源は今から一五万年から二〇万年前のアフリカ中北部にさかのぼり、言語の起源もひとつの祖語に収斂すると考えられる。 実際に、日本語をできるだけさかのぼってみると、古印欧語(インド=ヨーロッパ語)と驚くほど構造が似ていることがわかる...
[ 内容 ] 最新の遺伝子研究によれば、現代のヒトの起源は今から一五万年から二〇万年前のアフリカ中北部にさかのぼり、言語の起源もひとつの祖語に収斂すると考えられる。 実際に、日本語をできるだけさかのぼってみると、古印欧語(インド=ヨーロッパ語)と驚くほど構造が似ていることがわかる。 従来のような語彙の比較に終始するのではなく、言語の根本特徴に着目して比較すれば、原日本語も古印欧語もユーラシア大陸でつながっていた時代が確実に想定できるのである。 のみならず、これまで別領域と考えられていた、言語系統論と言語起源論の融合の可能性さえ見えてくる。 [ 目次 ] 第1章 声の日本語、文字の日本語―神々は歌ふ 第2章 文法的数と人称―印欧語の場合 第3章 印欧語からみた日本語の複数 第4章 人称代名詞とはなにか 第5章 格助詞の起源 第6章 名詞文と日本語 第7章 日本語動詞の形成―「来」と「為」の場合 第8章 否定の形成 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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