死が二人をわかつまで の商品レビュー
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久々のカー作品。しかも昔『毒殺魔』という題名で創元推理文庫から出ており長らく絶版となっていた幻の作品の改訳版である。1996年に国書刊行会から出版された物の文庫版である。 幻の作品ということでイコール傑作という発想が浮かぶが果たしてそうではない。 物語はシンプルで、婚約者がある病理学者により稀代の毒殺魔であることを知らされる男が主人公である。毒殺魔であると告げられた直後に学者は銃で撃たれ、しかもそれは婚約者が誤射した弾だった。 この偶然が主人公に、もしかしたら本当に毒殺魔ではないだろうか?という疑惑を持たせる。 ここら辺のストーリー展開は見事で、しかも彼自身が毒殺される恐れがあるという設定も面白い。 その後、誤射された弾は単なるかすり傷に過ぎなかったことが判るのだが、なんと学者は青酸カリを注射して(されて)死んでしまう。ここに至り作者はさらに婚約者が毒殺魔ではないかと畳み掛ける。 ここら辺は実にカーらしい展開なのだが、なんとももって回った文章が多く、読みにくいことこの上なかった。 ストーリーはその後、フェル博士が登場し、学者は偽者で詐欺師であることが判明する。この辺りはストーリーに揺さぶりを掛けており興味が尽きなかったのだが、主人公の婚約者とガールフレンドとの泥沼劇が繰り広げられる辺りになると冗長すぎて退屈した。 真犯人は予想と違っていたがどうも無理があるように感じ、すっきりしなかった。 真犯人がなぜ自らフェル博士を呼ぶのか、これが最大の疑問。殺人を犯した後で既に名探偵と知られていた人物を呼ぶというのがどうしても納得できなかった。 さらに加えて密室殺人のトリックの真相。図解の無い機械的トリックの解明は単なる文字の羅列である。百聞は一見にしかず。読んでいる途中でどうでもいいやと思ってしまった。 文庫として手に入りやすくなった今はもとより、絶版本である本作を古本屋巡りの末に手に入れ、読み終えたとき、その人はどのような感想を得たのだろうか? 私ならば果てしない徒労感がずっしりとのしかかって来るに違いない。
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無難なカー作品。 ★3くらいでちょうどいいんじゃないかな。 密室トリックはきちんとしているし ストーリー展開も一転二転とするし、 出来不出来の差があるカーの中では良品の方。 でもやっぱりちょっと物足りないなあ…。 あと新しい版の文庫なので字が大きい。 昔の文庫が恋しい...。
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フェル博士シリーズ 高名な病理学者ハーヴェイ・ギルマン卿がふんする占い師から婚約者レスリー・グラントが過去に夫を毒殺した女性と言われたディック・マーカム。射的の事故でレスリーに撃たれたハーヴェイ卿。翌日の夜中密室で毒殺されたハーヴェイ卿。死の直前についた部屋の明かりよ部屋に打ち込まれた弾丸。ハーヴェイ卿の正体は詐欺師ド・ヴィラだった。レスリーを中傷する手紙の正体。殺害された郵便局長ローラ・フェラーズ。
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古きよきミステリーって香りがするw タイトルは知っていたけれども、実際20になるまで読んだ事がなかった一作
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