桃色リクルートガール の商品レビュー
時代を反映した面白い展開と個性豊かで魅力充分なヒロイン達
『この文庫がすごい!2005』(宝島社)官能文庫大賞受賞作。新興企業の、零細ながら楽しかった日々の頃や、躍進の立役者ながら、訳あって自ら望んで閑職に干された主人公(30歳)の、ちょっと下心のある振る舞い、リクルート活動で現れる22歳の本命ヒロイン、コネでやって来る同年齢の対抗ヒロ...
『この文庫がすごい!2005』(宝島社)官能文庫大賞受賞作。新興企業の、零細ながら楽しかった日々の頃や、躍進の立役者ながら、訳あって自ら望んで閑職に干された主人公(30歳)の、ちょっと下心のある振る舞い、リクルート活動で現れる22歳の本命ヒロイン、コネでやって来る同年齢の対抗ヒロイン、そして「指南役」として出てくる35歳の人妻、さらに控える一癖も二癖もある脇役陣。これら主人公を取り巻く環境が、裏目裏目の展開とともに軽快かつ面白く描かれている。ことさら秀逸なのが2人の娘っ子達。就職活動に全戦全敗を続けるヒロイン【香純】は、能力よりも人柄が前面に出る健気な良い娘。気立ての良さだけでも就職できた、古き良き時代の女性像である。片や、お嬢様ながら努力も怠らない、キャリアウーマン然とした麗しき才媛【彩乃】は、知識も能力も資格もバッチシな、イマドキの女性を象徴した存在。この「古き良き」と「イマドキ」が対面する訳だが、悲しいかな「イマドキ」が終始優勢、押されっ放しな香純が実に不憫というか、物凄く保護欲を掻き立てられてキュンキュンしてしまう。そして、明るみになる香純の秘密、就職面談でオロオロした理由が判明する件は、少々子供じみた理由ながら、香純の一途な思いが吐露された名場面と断言したい。できれば、彼女の想いを知った主人公の行動がもう一歩、彼女のためにもう一歩進んだところまで描いて終わってほしかったとは思うが、少し捻りを利かせた、まずまず悪くない結末ではあった。情交の淫靡さについては、彩乃や人妻【紗貴子】が主に受け持つ。兄と慕う先輩社員の妻にして、かつての憧れだった紗貴子とのヤりまくりな「レッスン」と、これを基に、恥じらいつつも上から目線で主人公を誘う彩乃が責め立てられる逆襲で官能要素を高めている。
DSK
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