計算機屋かく戦えり の商品レビュー
- ネタバレ
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「ちょっと詳しい」と思っていた自分が恥ずかしい。水銀やブラウン管をメモリーに使ったのははじめて知りました。もちろん、パラメトロンも。 「思っていたより進んでた」と「遅れていた」が共存した歴史でした。 P208 東大TACの6000本の真空管は滅多に切れなかった。 P263 「コーディング用紙に書かれたプログラム」よく見たらマシン語だった。 P289 69年から75年にNHKでコンピューター講座があったというのはおどろき。 P311 小野田セメントが日本IBMに納入を断られた(たぶん1953年くらい) P326 東京五輪で、オンラインリアルタイムシステム(24時間)を日本IBMが構築。わたしは、オンラインバッチかと思ってました。当時を考えると発想自体がすごい。
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電子立国日本の自叙伝を髣髴とさせる、温故知新の名にふさわしい良書。コンピュータに加え計算機のルーツにもしっかり触れており、各種アナログコンピュータの話題など大変興味深い。
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日本のコンピュータ産業を育て上げた立役者26人のインタビュー集。読後、非常に印象的だったのは、彼らの「天才」や「閃き」などではなく、むしろ「志」や「愚直」といった側面だ。現代のエレクトロニクス産業にあって、こうした「志」や「愚直」がすでに通用しなくなっているのか。あるいは、日本人...
日本のコンピュータ産業を育て上げた立役者26人のインタビュー集。読後、非常に印象的だったのは、彼らの「天才」や「閃き」などではなく、むしろ「志」や「愚直」といった側面だ。現代のエレクトロニクス産業にあって、こうした「志」や「愚直」がすでに通用しなくなっているのか。あるいは、日本人が「志」や「愚直」という競争力の源泉を失ってしまったのか。サムスンあたりにやられっぱなしになっているエレクトロニクス業界の地盤沈下を目の当たりして、改めて考えさせられる一冊。それにしても、シャープの電卓開発をリードした佐々木正氏の一言が凄い。「心臓も機械で動かせる時代ですよ。材料が体に合えば、電卓だって体内に入るでしょう。人間の細胞で計算機を作れればね」。もうすぐ100歳にならんとするおじいさんが50年前にはそう考えていたというのである。こんな人材が今の日本にもいないわけはない。いるにはいるのだが、会社や研究所では陽の目を見ない。そんなシステムにこそ問題があるのかもしれないと思う。
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