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こんなことまでゲノムで決まる の商品レビュー

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2011/07/11

正直なところ、表紙だけ見て、「エセ科学本だろう」と思いながら、なんとなく図書館で借りたのだが、実際には、割とまともな本だった。遺伝子が専門の学者によって書かれた本。 ただ、専門家が一般向きに書いたためか、わかりやすくしようとしすぎて、中途半端に感じた。難しいところは省いて・・・...

正直なところ、表紙だけ見て、「エセ科学本だろう」と思いながら、なんとなく図書館で借りたのだが、実際には、割とまともな本だった。遺伝子が専門の学者によって書かれた本。 ただ、専門家が一般向きに書いたためか、わかりやすくしようとしすぎて、中途半端に感じた。難しいところは省いて・・・という部分と細かく説明されているところの粒度がイマイチよくわからない。 また、こんなことまで・・・というわりに、「それはそうでしょう。」みたいのが多かった。これまで、環境要因の方が大きいと言われてきたことが、実はほとんど遺伝子で決まっているなどといったことだ。例えば、肥満とか、味覚とか、服の好みとか、誘惑への意志の強さとか、知能指数とか・・・。でも、それは、「Happiness Hypothesis」を読んで、ある程度の知識を持っていたためかもしれない。 ゲノムによって、人の能力が決まってしまっているなんて、あまり楽しい話ではないかもしれない。でも、それは、あくまで「上限」が決まっているということ。上限が低いから努力をしても無駄という話では決してない。どうも、この「環境より生来説」はタブーとされている感があるけれど、自分の強み、弱みを知ることは、楽しく人生を送る上で重要なことだとわたしは思う。 ゲノムと病気の関係については、非常にわかりやすかった。もちろん、一つのゲノムによって引き起こされる病気については、これまでも話題になることはあったように思う。身内に○○の人がいると、その病気になりやすい・・・など。でも、生活習慣病といわれるものについては、環境や生活態度とされることが多いように思う。しかし、塩分を多量に毎日とっても血圧が上らない人と少しの塩分で血圧が上りやすい人など、そもそも生まれつき決定されている「体質」の影響もとっても大きい。つまり、前者では、血圧に問題が起こったときに、減塩療法は意味がないということになる。 本の最後では、遺伝子を調べて、その人の体質に合った医療を受けられる時代が来るかもしれないと示唆している。現在では、特定の病気に対して、遺伝子を調べることはあっても、予防として遺伝子全般を調べることはできない。多くのゲノムが複雑に絡み合って、多くの病気の原因となっているため、それを全て調べるにはお金がかかりすぎる。しかし、将来的に、たくさんの遺伝子をまとめて検査する方法がもっと安価になれば、定期検査として使用できるかもしれないとのこと。そうなったらいいのになと思う。著者が提案する、「オーダーメイド医療」は理想的である。 全体として、目新しい感はなかったけれど、それは、2005年に書かれた本なのだから仕方ないかもしれない。でも、軽く読めるし、それなりに知識は膨らむと思えたので、電車のお供にはちょうど良いだろう。

Posted byブクログ