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草木を見つめる科学 の商品レビュー

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2009/10/04

種生物学会のこのシリーズは学生・研究者向けの固い内容が特徴.毎年出版されているが,年によっては保全実務に深入りしすぎていたりしてちょっと手に取りにくいものもあるが,2005年の本書は生活史がテーマで内容もちょうど手頃な感じ. ます巻頭に植物の生活史研究史の総説的なまとめがあり,...

種生物学会のこのシリーズは学生・研究者向けの固い内容が特徴.毎年出版されているが,年によっては保全実務に深入りしすぎていたりしてちょっと手に取りにくいものもあるが,2005年の本書は生活史がテーマで内容もちょうど手頃な感じ. ます巻頭に植物の生活史研究史の総説的なまとめがあり,全体をまず見渡せる.その上で,いろいろな研究が紹介される構成.この巻頭論文ではカタクリの長期的なデータ最終が紹介され,その執念にまず脱帽.そして40年近く生きるカタクリの生活史戦略が説得力を持って解説される. そこからは各論.ブナと比較したトチノキの戦略.トチノキ,サワグルミはより攪乱の多い地域に適応している様子がわかる.数種類のハグマが森林の春の日照に対してどう戦略を立てて競争しているかも示される.米国湿原のハイビスカスについては湿原の構造と種子の分散の様子が説明され各植物の詳細が大変楽しい.また行列式を用いた生命表分析や遺伝子解析の用い方なども解説されており,知的な興味も満たされる.

Posted byブクログ