脳と創造性 の商品レビュー
他人との絶えざる競争の中、自信を失い、自分には創造性どころか、そもそも能力はないだ、と思いこんでいる人たちも多いのではないか。そのような思い込みを捨てることからしか、自らの中に眠る創造性を解放するプロセスは始まらない。後に見るように、生み出されたものが傑作であろうがなかろうが、天...
他人との絶えざる競争の中、自信を失い、自分には創造性どころか、そもそも能力はないだ、と思いこんでいる人たちも多いのではないか。そのような思い込みを捨てることからしか、自らの中に眠る創造性を解放するプロセスは始まらない。後に見るように、生み出されたものが傑作であろうがなかろうが、天才的であろうがどうだろうが、そんなことは生きる現場においては2次的な意味しか持たないのである。人々が、それぞれの生きる現場において、自らが置かれた文脈を引き受けて様々な工夫を凝らす時、そこで生み出されたものは必ずや生において切実な意味を持つし、価値を持つ。それが他人から傑作として評価されるかどうかは、いわば「宝くじに当たるかどうか」のような、半ば偶然によって左右されることである。学校の成績が良いからといって、創造的であるとは限らない、とはよく言われる話である。しかし、成績が悪いからといって創造的だということでもない。要するに、学校の成績と創造性の間には相関があまりない。創造性は、それほど簡単に測ったり予想できたりするような代物ではないのである。つまりは、工場の工程のようにコントロールはできないということである。自分がコントロールできないことで悩んでも仕方がない。堅苦しい結果論を求めるよりも、まずは精一杯生きることの方が大切なのである。
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