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「北朝鮮」とは何だったのか の商品レビュー

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2023/04/19

本書のオリジナルは、1992年の発行なので、今から30年前のことである。筆者の本格的デビュー作となる「ソウルの練習問題」の発行が1988年のことなので、本書は筆者の初期の頃の作品である。筆者は、初期の頃に、朝鮮半島(韓国と北朝鮮)をテーマとする作品を多く書いている。「ソウルの練習...

本書のオリジナルは、1992年の発行なので、今から30年前のことである。筆者の本格的デビュー作となる「ソウルの練習問題」の発行が1988年のことなので、本書は筆者の初期の頃の作品である。筆者は、初期の頃に、朝鮮半島(韓国と北朝鮮)をテーマとする作品を多く書いている。「ソウルの練習問題」「海峡を越えたホームラン」「東京から来たナグネ」、本書「退屈な迷宮 北朝鮮とは何だったのか」といったノンフィクション・ルポルタージュに加えて、在日韓国・朝鮮人を主人公とした連作短編集の「水の中の八月」も書いている。 本作の解説者も述べているが、それら一連の朝鮮半島をテーマとした作品は、いずれも調査・研究が行き届いている。また、実際に韓国や北朝鮮に出かけて現地の実態を見聞し、また、これもすごいが、朝鮮語を学習し、(おそらく)相当な程度まで(日常会話は当然、相当に込み入った会話や書籍などを読み解くことが出来る程度まで)マスターしたようである。筆者の文章は諧謔味、偽悪的な部分があり、自らを卑下する表現が目立つが、一連の朝鮮半島ものを読む限り、筆者が相当の努力家であることを感じるし、ノンフィクション作品として、本書は相当のものだと思う。 30年前の作品を今読んでみて、まず感じるのは、北朝鮮が相変わらず「退屈な迷宮」であり続けていることだ。本書のオリジナルが発行された時点では、金日成はまだ存命であった。金日成が亡くなった後は、金正日、2011年に金正日が亡くなった後は、金正恩と世襲の指導者が続き、最近は、金正恩の幼い娘がメディアに登場したりしている。30年前以降、北朝鮮の指導者が、韓国、日本、米国の西側指導者と会ったりして、西側との関係改善があり得るかもと感じられる時期もなくはなかったが、基本的には、外に向かっては国を閉ざし、あたかも宗教国家のように指導者のみを崇拝する体制をつくりあげ続けているとことは、全く変化がない。 変ったのは、むしろ北朝鮮に対しての外からの観測であったようだ。本書では、関川夏央ばかりではなく、当時の一般的世論として、北朝鮮という国の体制は、長くはもたず、南北統一は不可避であるという見方がなされている。それがハードランディングになるのか、ソフトランディングになるのかの見方は分かれていたようであるが、南北統一されるであろうことについての見方は、世間的には一致していたようだ。 ただ、現実にはそうはなっていない。代を継いで、金一家の独裁体制は続いているし、今となっては、なかなか南北統一というイメージは逆に湧きにくくなっていると思う。 北朝鮮の人々は貧困に苦しんでおり、食糧も十分ではないと推測されており、長い目で見た時にこのような体制が続くはずはないと誰もが思うのだが、意外としぶとく長続きしているということだ。この先、どのくらいこの体制が続くのかも、なかなか見通せない。

Posted byブクログ

2009/10/04

北朝鮮問題の核心を、圧倒的な情報と精緻な論証で綴ったノンフィクション。日本の投資家にとって無視できない問題。

Posted byブクログ