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農業聖典 の商品レビュー

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2020/03/09

これまでいろんな人に聞いた有機農の話の元をたどると、どうやらその多くは1940年に出版されたこの本に辿り着くようだ。確かに「聖典」という書名に偽りはないと思う。 未利用の有機物資源の活用や堆肥坑の作り方も、またカバークロップやマメ科を組み入れた輪作も、そして通気性確保のための耕...

これまでいろんな人に聞いた有機農の話の元をたどると、どうやらその多くは1940年に出版されたこの本に辿り着くようだ。確かに「聖典」という書名に偽りはないと思う。 未利用の有機物資源の活用や堆肥坑の作り方も、またカバークロップやマメ科を組み入れた輪作も、そして通気性確保のための耕運や溝切り、心土破砕もピジョンピーも。ああ、あそこで聞いたなということがすべてここに書いてあった。 よくぞまぁ、原著に"An Agricultural Testament"などというタイトルをつけたなと呆れつつ、実際そうなっているところが驚き。 20世紀の初頭にはすでに、現代にも未解決な問題として残る諸々の食料生産における問題が指摘されていて、その糸口として未利用の植物残渣と動物性の有機物から生まれる腐植を用いた、いわゆる「有機農業」は提唱されていた。というよりも化学肥料による栽培が主流になる前までは、それ自体がマジョリティだったのであって(農業とはそもそも“有機農業”であった)、20世紀初頭の時点で既にオーガニックは「再発見」されていた。 田坂広志風に言えば、かつての「有機農業優等生」の日本も、100年経ってようやく、1周螺旋状に階段を登って、もうひとつ上のステージに登るタイミングが来ている。緩やかに下り坂を降りていく時代にドーピングはいらない。必要なのは「循環」することだ。 「いつか私たちの食料が肥沃な土から育てられ、供給され、新鮮な状態で消費されるようになれば、少なくとも人類の病気の半分がこの世から姿を消すであろう」p.277 と、大見得切って終わる本書。そこから大きな贈り物を受け取って、傍流とされながら普及に努めた人たちの成果が、今僕たちに託されようとしている。ホントに責任は重大なんで、とにかく実践あるのみですわ

Posted byブクログ