空白の意匠 の商品レビュー
松本清張はミステリ作家だと勝手に思い込んでいたのだが、この短編集はよくできたSSである。ピリッとスパイスのきいた人間関係が集められていて、短編であるにも関わらずページをめくる手を止められなかった。 私が読んだ本は昭和39年に出版されたノベルスだが、2003年にも再版されている...
松本清張はミステリ作家だと勝手に思い込んでいたのだが、この短編集はよくできたSSである。ピリッとスパイスのきいた人間関係が集められていて、短編であるにも関わらずページをめくる手を止められなかった。 私が読んだ本は昭和39年に出版されたノベルスだが、2003年にも再版されているのをみてもわかるように、現代にも通用する、しかし昭和初期の香りのする話である。 ストーリー全体に張り巡らされた緊張感。それは最後の、たった一行でぷつりと切れる。それと同時に、読んでいるものはこの世界の苦々しさや残酷さを思い知らされるのである。その落とし方は絶妙で、思わず感嘆のため息をついてしまう。 古いお話だが、一読の価値アリ。
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