女性に劇的、漢方薬(1) の商品レビュー
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著者は漢方を中心に処方している益田総子医師(S16ー)です。 本書は益田氏の来し方と、女性向けに処方している漢方薬のエピソードをまとめていました。 益田氏は千葉市で生まれ、67年に東大を卒業して医師となります。 初めは小児科医としてスタートして病院やクリニックに勤務しました。 しかし漢方の効果を目の当たりにしてからは、自身の治療に漢方を取り入れました。 そこからは患者を師として独学し、腹診を基本とした現在のスタイルにたどり着きました。 診療の合間には地元新聞や雑誌に寄稿し、それらをまとめた漢方シリーズも出版されます。 1.不思議に劇的、漢方薬(H2) 2.やっぱり劇的、漢方薬(H5) 3.「こころ」に劇的、漢方薬(H11) 4.女性に劇的、漢方薬1(H15) 5.女性に劇的漢方薬2(H15) 6.女性に劇的、漢方薬3(H19)など。 本書は第4作目にあたり、H15年に出版されたものです。 前半に自身の来し方がまとめられていて、初めて長女の難病に悩んでいたことが明かされていました。 病名は統合失調症、見た目は元気そうだったので見落としてしまったのです。 長女の面倒をみながら、漢方という手間がかかる治療法に取り組むことは職場の理解が得られず、開業を決意します。 漢方治療は利益や採算性からは遠い治療法でしたが、患者さんを本当に治療したい、という思いから、この道を進んできたことなどが綴られていました。 後半には、女性向け漢方薬の症例を紹介していました。 取り上げている薬は次の4種です。 当帰芍薬散(10症例) 当帰建中湯(3症例) 加味逍遙散(2症例) 芎帰調血飲(4症例) 症例数からも窺えるように、著者のクリニックでは当帰芍薬散を処方することが多いようです。 全てがスムーズに治癒に至っているわけではありませんが、その時々で試行錯誤を繰り返しながら患者と共に病気に臨む姿が生き生きと描かれていました。 漢方関連のエピソードも面白かったのですが、本書では来歴が綴られていたので読み応えがありました。
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