ひかわ玲子のファンタジー私説 の商品レビュー
ファンタジー作家である著者がファンタジーの強み、というより存在意義について他の作家との対談もはさみつつ問う。ファンタジーは現実に束縛されない自由な形で何かを主張するものであり、ただ「物書き」のコミュニティに参加するためのツールではないという指摘にはハッとさせられた。個人的に最近の...
ファンタジー作家である著者がファンタジーの強み、というより存在意義について他の作家との対談もはさみつつ問う。ファンタジーは現実に束縛されない自由な形で何かを主張するものであり、ただ「物書き」のコミュニティに参加するためのツールではないという指摘にはハッとさせられた。個人的に最近の異世界ファンタジーは、ある枠組み(テンプレ)のもと再生産と主張の希薄化を繰り返しているように見えるので、著者の先見の明に驚いた。 著者と他の作家との対談は「ファンタジーオタク」のトークとしても読め、その会話で取り上げられる作家や作品の名には詳しい注釈も付いているので、著者の年代のファンタジーの潮流を知ることもできたのは思わぬ収穫だった。
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