子どもの攻撃性にひそむメッセージ の商品レビュー

村山士郎(著者)

2013/03/25

　何かきっかけさえあれば，どこの家庭でも，学校で
も衝撃的事件は起こりうる時代になった。子ども事件
の推移を，著者はその攻撃性に着目し，攻撃性の変
化としてとらえている。
攻撃を向ける相手との関係が見えるものから，攻撃
をかける側とかけられる側とにきっかけはあったと
しても特別因果関係が見つからない他者攻撃への変
化である。そして，その攻撃性は，さらに，社会病
理的様相を深め，残忍性や衝動性を深めていると指
摘している。

　作文教育の専門家でもある著者は，子どもの作品
を豊富に引用し子どもたちの心の奥を解き明かして
いく。
　また，「共感」と「受容」をもって子どもと接す
る必要性を指摘する一方，「そのままのあなたでい
い」などというアプローチは安易な自己肯定観とし
て否定している。