評伝マイスター・エックハルト の商品レビュー

ゲルハルトヴェーア(著者),徳岡知和子(訳者)

2011/06/10

一遍上人語録などを読むにつけ、マイスター・エックハルトとの近親性に驚くことが多かった。仏教における神秘思想は主に密教が担っている印象が強いけれど、六字名号に収斂し、ひとが念仏をして救われるのではなく、念仏が念仏をする境地というのは、まさに神秘思想なのではないか、そしてその心境はマイスター・エックハルトと非常に近い。しかし、この本はね、ちょっと食い足らないの。読者の対象をどこにしているのかわからない。この本を手にする人はたぶんそれなりの知識があるわけ、じゃなかったら、そもそも見向きもしないもの。そこら辺がちょっと。