後藤田正晴 の商品レビュー
この間佐々淳行の書いた後藤田正晴を読んで面白かったので、後藤田さん本人がインタビューに答える形でものしたこの本を読んだ。 後藤田正晴という人の人間のおもしろさを知るには本人よりも佐々さんのような他人の書いた本の方がよい。やはり後藤田さんは「天下のご意見番」だからこの本で述べら...
この間佐々淳行の書いた後藤田正晴を読んで面白かったので、後藤田さん本人がインタビューに答える形でものしたこの本を読んだ。 後藤田正晴という人の人間のおもしろさを知るには本人よりも佐々さんのような他人の書いた本の方がよい。やはり後藤田さんは「天下のご意見番」だからこの本で述べられていることは至極まっとう。 しかし、最近の政治家は至極真っ当なことも言えない人が多いなあ。重みがないもんな。 そんな真っ当な後藤田さん。僕は知らなかったけど、自民党が党是としていた憲法改正を党是から外させて「国民とともに広く論議をしていく」ことを綱領にしたそうだ。憲法改正論者の中曽根さんも総理在任中憲法改正を政治問題にしない、と明言し、それを守ったそうだ。昔の人の見識を感じる。 後藤田さんは憲法改正については、戦争を知っている、経験した人達がみんないなくなった後(2010年頃を想定している)、その時の国際情勢を踏まえた上で改正した方がよいとなれば改正すべし、その時には国民の民度も相当に上がっているだろう、と言う。 しかし、この本後を知っている私たちは溜息をつかざるを得ない。その後、国民のあいだに憲法に関する真っ当な論議は出なかったし、2010年になっても国際情勢は不安定さを増すだけだし、肝腎のわれらが日本は今及び将来のあるべき日本国像を結べずにいる。こんな状況では憲法改正なぞできるわけがない。つまりは、後藤田さんが期待を込めた12年後は期待はずれの歩みをしてきたということだ。 そして後藤田さんはもういない。
Posted by
- 1