美しい夏の行方 の商品レビュー
辻邦生のイタリア紀行…
辻邦生のイタリア紀行。辻邦生の美しい文章に触れ、カラー写真を眺めれば、イタリアの光景が目の前に広がります。この本で語られている辻邦生の感性やイタリアへの想いは「背教者ユリアヌス」などの小説にも垣間見えるところで、イタリアが好きな人にも辻邦生ファンにもおもしろい本だと思います。
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真夏の光と陶酔があふ…
真夏の光と陶酔があふれる広場、通り、建物、カフェ……。ローマからアッシジ、サン・ジミニャーノ、シエナ、フィレンツェ、そしてシチリアへと、美と祝祭の国の町々を巡る、甘美なる旅の記憶。
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この人も私と同じようにイタリアに魅せられた!と思うと、嬉しい。「イタリア、何という耳に快い響きだろう。・・・イタリアにいると、幸福のあまり、いてもたってもいられないような活力を感じるのだ。なぜイタリアにいると幸福になるのだろう。」 「たとえば汗ばんだ浅黒いローマの女たちだ、放埓で...
この人も私と同じようにイタリアに魅せられた!と思うと、嬉しい。「イタリア、何という耳に快い響きだろう。・・・イタリアにいると、幸福のあまり、いてもたってもいられないような活力を感じるのだ。なぜイタリアにいると幸福になるのだろう。」 「たとえば汗ばんだ浅黒いローマの女たちだ、放埓で、大胆で自由で、それでいて敬虔な彼女たちは、薄いブラウスの下で、豊かな乳房を熟れた果実のように柔らかく揺らせている。暑熱に包まれたこの肉感は、南国の官能的なハイビスカスの花を想像させる。肉体は甘く、香り高く匂うのである。」そしてスペイン広場では「137段の石段を上ってまた下りるだけでも、何か歓喜に近い気持ちが溢れてくるはずだ。人は永遠にここにとどまりたいと思うだろう。それは今この時自分がいきているという限りない自覚を呼び醒ましてくれるからだ。・・・」など。これはシエナでもフィレンチェでも。このように全編が輝きに満ちた幸せを放っている。シチリアについても「ボストラ・マーレ(僕らの海・つまり地中海)」に囲まれた時空を超えた感覚の幸福感を余すところなく語ってくれている。
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格調高い旅行記。 美しい景色が見える。 でも、私はもっと力で切り抜ける旅行記が好き。 多分、旅のスタイルの問題。
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(2002.11.18読了)(2000.04.14購入) (「BOOK」データベースより) 真夏の光と陶酔があふれる広場、通り、建物、カフェ…。ローマからアッシジ、サン・ジミニャーノ、シエナ、フィレンツェ、そしてシチリアへと、美と祝祭の国の町々を巡る、甘美なる旅の記憶。カラー写真...
(2002.11.18読了)(2000.04.14購入) (「BOOK」データベースより) 真夏の光と陶酔があふれる広場、通り、建物、カフェ…。ローマからアッシジ、サン・ジミニャーノ、シエナ、フィレンツェ、そしてシチリアへと、美と祝祭の国の町々を巡る、甘美なる旅の記憶。カラー写真27点収録。 ☆辻邦生さんの本(既読) 「風の琴」辻邦生著、文春文庫、1992.05.10 「花のレクイエム」辻邦生著・山本容子絵、新潮社、1996.11.15 「生きて愛するために」辻邦生著、中公文庫、1999.10.18
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シチリアに旅行に行きたいのでその予習と、「背教者ユリアヌス」がおもしろかったので購入。 少し硬い感じの紀行文。写真がきれい。 2011/10/26読了
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引用した「夕べの民衆のセレモニー」、これと同じものに、以前訪れたスペインのサンセバスチャンで遭遇した。夕刻、街の中から海岸に沿った道に、いつの間にかおおぜいの人々が繰り出し、散歩し、おしゃべりし、すでに閉まった店のウインドウを覗き、ただ座り、暮れなずむ時を過ごしている。何かの目的...
引用した「夕べの民衆のセレモニー」、これと同じものに、以前訪れたスペインのサンセバスチャンで遭遇した。夕刻、街の中から海岸に沿った道に、いつの間にかおおぜいの人々が繰り出し、散歩し、おしゃべりし、すでに閉まった店のウインドウを覗き、ただ座り、暮れなずむ時を過ごしている。何かの目的のための時間ではなく、その時をただ味わう歓び、なぜだか、これこそが人生の豊かさというものかもしれないと感じた時間。
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