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ジンベエザメの命・メダカの命 の商品レビュー

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2009/10/04

 水族館で働いていて、『現場第一線→水族館の偉い人』になった人が、水族館について思うこと。須磨の水族館やかごしまの水族館を作った人、という位置なのでしょうか。とりあえず、ラッコが死ぬと記者会見をして頭を下げなきゃいけない人だということは理解した。  イワシが死んでも海草が枯れても...

 水族館で働いていて、『現場第一線→水族館の偉い人』になった人が、水族館について思うこと。須磨の水族館やかごしまの水族館を作った人、という位置なのでしょうか。とりあえず、ラッコが死ぬと記者会見をして頭を下げなきゃいけない人だということは理解した。  イワシが死んでも海草が枯れても日常の一こまなのに、ジンベイザメが死んでラッコが死ぬと記者会見なのですね。確かに、言われるまで意識しなかったけど、不思議なことかもしれません。まあ、人間でも、死んで新聞に載る人とおくやみ欄に名前だけ載る人とがいるから、そういうものなのかもしれないけど。  現場の方の言葉は、とても示唆に富んでいる。  また、著者略歴を見て、かなりのお年(書いた時点で70歳くらいだった)なのに、文章が平易でわかりやすいのには驚ました。重々しさがなく、文章が若々しい。子供にもわかる文章を、みたいな感じでずっと文字をかいていたのかなー。市への提言みたいなものもかかわっていたようですから、難しい文章も自在に書けそうな気がします。  総じて、あ、この人いい印象を受ける人だな、と思ったり。多少フリーダムな印象がありますが、部下になったら困りつつ慕えそうだなー、と。よい上司かはアレですが(あちこちひっかき回しそう)、楽しそうだし好きになれそうです。いいな。  動物を展示することは、動物を理解したいという気持ちを持てるようになる端緒なのかな、という点は初めて意識させられました。よく考えてみればそうなんだけど。   外国に行くと、その国に親しみが持てて、その国の人と仲良くしたいと思うのと近そう。動いているお魚を子供の頃に見るっていうは、やっぱりそれ自体に意味がある行為だと思う。  ふと、久しぶりにイワシの群れが見に行きたくなりました。

Posted byブクログ

2009/10/04

魚は『食料』『研究対象』『鑑賞』等々様々な観点から我々の生活に接している。 観点の数だけ魚エッセイの切り口は多様化するわけだ。 そんな中、本書は『学ぶための教材』として、いかに表現するかを考え、アウトプットした行程を書いている。 本書全体に『いのちをどう考えてもらうか?』というテ...

魚は『食料』『研究対象』『鑑賞』等々様々な観点から我々の生活に接している。 観点の数だけ魚エッセイの切り口は多様化するわけだ。 そんな中、本書は『学ぶための教材』として、いかに表現するかを考え、アウトプットした行程を書いている。 本書全体に『いのちをどう考えてもらうか?』というテーマが見え隠れする。 水族館の来客へ向けてどうアプローチしたかということを書いているはずなのに、読者にまで訴えかけてくる。 それだけ強烈なテーマということなのだろう。 最初この本を目にしたとき、『ゾウの時間 ネズミの時間』の魚バージョンだと思っていた。 が、実際は『水族館を、いのちについて考えることができる場所にするにはどうしたらよいか』というテーマについて様々なエピソードが展開されていく。 水族館を改修するに当たり、新たな展示企画を考えたりする過程が書かれているのだ。 水族館運営の奮闘記を通じて描かれる、水族館の生き物の話はなかなか興味深い。 読み終えた時、『他の本のパロディかぁ?』と一瞬でも思ったことを悔やんでしまった。

Posted byブクログ