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ナチ・コネクション の商品レビュー

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2023/07/18

人種改良を以って国家、ひいては人類の進化のために優良な種を残す・増やすことを科学的な体面で追求した(する)優生学。ナチスによる政策がまさに「国家的な実証実験」となり、今でもなお、現代の根底に燻っているこのイデオロギーの歴史のうち、「国際的な相互作用と影響」をドイツとアメリカとの関...

人種改良を以って国家、ひいては人類の進化のために優良な種を残す・増やすことを科学的な体面で追求した(する)優生学。ナチスによる政策がまさに「国家的な実証実験」となり、今でもなお、現代の根底に燻っているこのイデオロギーの歴史のうち、「国際的な相互作用と影響」をドイツとアメリカとの関係で見ようとする大作。 読後の第一印象は、とにかく記述が精緻で詳細。巻末の100ページ弱にのぼる参考文献と注が示すとおり、膨大な文献調査に基づく学術研究書なのでこうなるが、門外漢の素人(俺のこと)が読むと、詳細すぎて(特に人物)議論の筋を見失うことも…。 ノンフィクションとかだともう少し違うのかな…。 それから、気になるのはやはり優生学者の態度。事実の究明だけでなく実践(応用優生学)があって、初めてこの学問(?)の目的が達せられることを考えると、社会や政治とのかかわりなしには成立しないと思うけど、当時の(そして歴史を踏まえた上での現代の)社会状況に対する無自覚さ・社会性のなさが何とも…。 大学生時代に科学基礎論や科学哲学を少し齧った身としては、まさにこれが科学の在り方の問題につながってんだよ!! と思ってしまう。 大変面白かった上で注文を付けるとすると、ナチスの政策によって実現していくアメリカの優生学者たちの研究成果?が、アメリカ科学界全体の中でどうみられていたのか、の記述があると、より完成度が高まったかも。本文のどこかでポロッと触れられていたと思うんだけど…。 あと、原題及び邦題が内容に合ってるかなぁ… とちょっと疑問。

Posted byブクログ