クロンカイトの世界 の商品レビュー
本書の著者クロンカイトと、エド・マロー。共にアメリカのテレビ黎明期に 誕生したキャスターである。 ひとつのテーマを掘り下げる番組を担当したマローが社説的なキャスター であるならば、クロンカイトはその日の出来事を個人的解釈を交えずに 伝えるキャスターであった。 日本のニュース・...
本書の著者クロンカイトと、エド・マロー。共にアメリカのテレビ黎明期に 誕生したキャスターである。 ひとつのテーマを掘り下げる番組を担当したマローが社説的なキャスター であるならば、クロンカイトはその日の出来事を個人的解釈を交えずに 伝えるキャスターであった。 日本のニュース・ショーを見ていると、クロンカイト・タイプのキャスターは 少ないのではないだろうか。だからと言って、マローのように問題提起の 出来るキャスターがいる訳でもない。 ニュース・キャスターの草分け的存在だった田英夫がTBSを去った時に、 日本のニュース・キャスターが育つ土壌が奪われてしまったのかも 知れぬ。 「今のテレビの連中は、ニュース価値そのものよりも面白いかどうかに 走り過ぎる」 クロンカイトの言葉であるが、日本のテレビ・ニュースにも言えることでは ないだろうか。「報道番組」と銘打ってはいるが、「ニュース・バラエティ」 と言った方がいい番組が多すぎやしないか。 「ニュースを伝えるという領分を超えて、何か偉い役を演じようとした。 早く降板させるべきだった」 番組を引き継いだダン・ラザーが、2005年に降板した際のクロンカイトの 手厳しい評価だ。ダン・ラザーのみならず、すべてのニュース・キャスター が肝に銘じておく言葉だろう。
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