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母の四万十川(第3部) の商品レビュー

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2017/11/09

昭和の時代を、川魚漁師と食品店をきりもりして乗り越えている チエと民蔵夫婦のお話もいよいよクライマックスです。 チエの亡くなった姉の子供裕一とその弟もそれぞれ成人し、故郷のこの村で就職口を見つけることができました。 チエの長男大輔はチエたちと同居し、店や川魚漁を手伝っています...

昭和の時代を、川魚漁師と食品店をきりもりして乗り越えている チエと民蔵夫婦のお話もいよいよクライマックスです。 チエの亡くなった姉の子供裕一とその弟もそれぞれ成人し、故郷のこの村で就職口を見つけることができました。 チエの長男大輔はチエたちと同居し、店や川魚漁を手伝っています。新しい農業のやり方を研究し、この村に若者を呼び戻すのだと、目標をもって仕事をしていました。次男の幸春は学校を出ると東京へ行き、それなりに生活をしているようでした。三男の千年は大学をでてから教師となり、村に残りました。 やがて子供たちがそれぞれに結婚。孫も生まれ、チエと民蔵の店兼自宅には、子供たちの笑い声と大人たちの談笑が絶え間なく聞こえるようになりました。子供たちのうち、次男だけがまっとうでないと、民蔵が言っていたころ、幸春がある文学の新人賞をとったというニュースが流れてきます。 ここまでみな、無事にりっぱに育ってくれた・・・。昭和が幕を閉じようとしているころ、チエは万感の思いで、それまでの半生を振り返るのでした。 チエと民蔵とその家族を中心に、移り変わる山奥の村の経済や生活の様子もこと細かく描かれていました。戦争中中国への移民を半ば強制的にさせられたということも、小説の中では村の歴史の暗い影となってちらほら出てきます。 一般農民の戦後の生活史であるとともに、 読みやすい文章の中に、生きる術も含んだ家族小説でした。

Posted byブクログ