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玉藻の前 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2017/10/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

奥付を見ると1999年の第1刷、なぜか購入以来20年近くもちゃんと読むことのないままうち置かれていた本書を、今さらながらに通読した。 なぜこれほどの名著を積んでおいたのだろうか…。 広く知られる古典の妖怪物語を岡本綺堂氏が再編したものだが、素晴らしいアレンジと言う外ない。 およそ100年も前に書かれたとは思われぬほど読み易く、それでいて流麗としか形容のしようがない見事な文章が独特の心地よいリズムを保ちながら綴られており、さぞ壮大な絵巻を堪能したものだ…と読後に嘆息していると、なんとこれが僅か221ページに収められているとは! 恐ろしいまでの完成度。 それを知るのが本当に遅まき過ぎて、誠に恥ずかしい。 他の九尾の狐伝説には登場しない千枝太郎という人物を登場させ、玉藻との道ならぬ恋物語としての筋も一本通しているが、これがまた終いに至るまで美しい。 まさに足すところも引くところもない、完璧な作品だ。 玉藻の魂は旅を続けながら長い時を生き、今も世界のどこかで妖魔として存在しているのではないだろうか…、そんな夢想もしてしまう。

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2012/05/19

綺堂さんの「初めて本」 玉藻の前の妖しい魅力が読者の自分にもオーラのように降りかかってくるようでした。

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2017/08/15

 那須高原の殺生石伝説でも有名な「玉藻の前」の故事を岡本綺堂が妖しくもせつない恋物語へと昇華させた傑作です。  正体が九尾の狐という妖怪である玉藻の前の妖艶な魅力にとらわれた主人公の陰陽師が、妖怪とわかったあとも恋焦がれ、苦しみ続けるという内容なので、はっきり言うと男性目線です...

 那須高原の殺生石伝説でも有名な「玉藻の前」の故事を岡本綺堂が妖しくもせつない恋物語へと昇華させた傑作です。  正体が九尾の狐という妖怪である玉藻の前の妖艶な魅力にとらわれた主人公の陰陽師が、妖怪とわかったあとも恋焦がれ、苦しみ続けるという内容なので、はっきり言うと男性目線です。女性には受けないかもしれません。  でもこんな経験をしている男は意外と多いと思います。  (こんな経験ばっかりだった気がする…)  谷崎潤一郎の『痴人の愛』の主人公と似ています。  『痴人の愛』がすごく好きで、しかも伝奇小説が好きな方は是非!

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2011/07/15

金毛九尾の狐の伝説を、半七捕物帳の作者が悲しい恋物語として表したのが本書。九尾の狐伝説ってこんな話だったのか・・・まず、タイトル読めんかった・・・天竺から中国に渡り殷を滅亡に導き、絶世の美女として日本の宮中に潜入しようとする。そこに表れるのは陰陽師安倍晴明の子孫とその若く悩める弟...

金毛九尾の狐の伝説を、半七捕物帳の作者が悲しい恋物語として表したのが本書。九尾の狐伝説ってこんな話だったのか・・・まず、タイトル読めんかった・・・天竺から中国に渡り殷を滅亡に導き、絶世の美女として日本の宮中に潜入しようとする。そこに表れるのは陰陽師安倍晴明の子孫とその若く悩める弟子。この作品が何年に書かれたのか確認していないのですが、昭和14年に著者は亡くなられているので、かなり前のはずなのです。全く古びない作品。半七捕物帳でも感じたのですが、描かれる情景には詩情さえ感じられます。浄瑠璃や歌舞伎を取り込んでいるとう、その言葉の選び方が凄い。岡本綺堂、すごいです。図書館で偶然見つけたのですが、この伝奇小説は何巻かのシリーズになっているようです。また楽しみが増えた。

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2010/11/11

愛する三浦介義明と上総介広常の若かりし頃の活躍が見たくて。三浦は若くはないけれど、石橋山と比べたら。記憶違いか、千葉さんも討伐組にいたような気がしたのだけど。 衣笠がとばっちり過ぎて、三浦のおじいちゃんを慰めて差し上げたい。あと隣の翁が癒し系過ぎて孫になりたいくらい。

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2010/11/02

「飛騨の怪談」のお葉といい玉藻といい、綺堂の「悪女(道徳から外れてしまった人)」の魅力的なこと! それにひきかえ千枝松のへたれていること! しょうもなさが一周して最後には好感を持ってしまったじゃないか。 …うん、あれは玉藻様もほだされちゃうよね。しょうもなさすぎて。 紡ぎだされ...

「飛騨の怪談」のお葉といい玉藻といい、綺堂の「悪女(道徳から外れてしまった人)」の魅力的なこと! それにひきかえ千枝松のへたれていること! しょうもなさが一周して最後には好感を持ってしまったじゃないか。 …うん、あれは玉藻様もほだされちゃうよね。しょうもなさすぎて。 紡ぎだされる世界の美しさにうっとりしているうちに物語に引きずり込まれて、あれよあれよという間に読み終わってしまった。 「封神演義」を読んでおいてよかったと初めて思った。

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2009/11/25

我が国の優れた恋愛小説家の作品を集めてアンソロジーを編むとしたら、彼も入れるべきじゃないだろうか。 「番町皿屋敷」の翻案といい、よく知られた九尾の狐の伝説の翻案であるこの物語といい・・・岡本綺堂って、ロマンティスト。

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