メディアの権力(2) の商品レビュー
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1999年(底本1983年。原本1979年)刊。◆全4巻中の第2巻。 テレビの登場、そしてJ・F・ケネディのテレビ、報道記者の操縦術の在り様が開陳される。 一方、ニクソンの下手なこと……。 そもそも、報道機関が、立法・行政・司法と並ぶ第4番目の権力と称されるようになって久しいが、それは、①他の3つの権力の監視という役割を担える存在故であり、一方、②巨大化した報道機関の活動が、良くも悪くも国民の意思形成に深くコミットできる上に、その国民の様々な利益を害する危険性を持つ存在ゆえだ。 この②の特質に気付いた者。さらに、この特質を活用・悪用しようとする存在が生まれてきた。その米国での典型がJ・F・K。 こういう解釈が説得力をもって可能となる実例が叙述される。 ②の危険性は、①の役割を十全化する意思と行動規範で歯止められるべきものであり、権力との癒着がもってのほかは当然だ。しかしながら、権力に篭絡されるようでは話にならない。そのことが良く判る巻だ。 さて、現代日本のジャーナリストで、日本のジャーナリズム形成史の実を、本書レベルで取材・発表できる人材がいるかは、甚だ心もとない。 それは、権力との癒着・篭絡を暴き得る人材がいないことを意味している。肝に銘ずべし。
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デビットハルバースタムの書くノンフィクションは事実を忠実に語るだけでなく その周りの人々の行動、言論なども精密に描いている。 歴史で語られる人物がなぜこのような行動をとったのか、どのようにして事件はおこったのか、圧倒的で迫力ある文体が迫ってくる。
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