サイトメガロウイルス の商品レビュー
エルヴェ・ギベールについてはどう語ればいいのかわからない、いつもそう思っている。好きだけれど人にはオススメできない本、人には薦めずに自分のものにしておきたい本、とかあるけれど、エルヴェ・ギベールは人に薦めるべき本だと思っている。ただ、なんといえばいいのかわからない。一度、二十分く...
エルヴェ・ギベールについてはどう語ればいいのかわからない、いつもそう思っている。好きだけれど人にはオススメできない本、人には薦めずに自分のものにしておきたい本、とかあるけれど、エルヴェ・ギベールは人に薦めるべき本だと思っている。ただ、なんといえばいいのかわからない。一度、二十分くらいかけてギベールの代表作「ぼくの命を救ってくれなかった友へ」の紹介というのをしたことがあるのだけれど、怖い本だ、と思われてしまった。それは違うのだけれど、どう説明していいのかわからない。本作はエイズに感染したギベールが、感染症治療のために入院していた日々をつづった日記の形式を取っている。ホモセクシュアリティを持つギベール、成功したスマートな作家であるギベール、アイドルスターもかくやという容姿の美青年であるギベール、そしてミシェル・フーコーの友人であるギベール。ギベールは赤裸々に私生活を作品にあらわしていて、それを聞くといくらか俗っぽい感じがする。けれど彼の書くものからすれば彼の思考はこの上もなく透き通って見える。この本の中でギベールが書いている一文は、その思考を言葉にしなければ生きていけない人間の悲哀が滲んでいて、私の座右の銘でもある。「この人生、僕は十分書いたかな、僕は十分読んだかな?」
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全体的に冷めた滑稽感が漂う。ここでいやというほど聞かされるのは「よく召し上がれ」「よき一日を」「よき週末を」「よくお休み」「よきバカンスを」だが、「よき臨終を」というのは聞いたことがない。この著作の完成の二ヵ月後、彼は自殺を図り、年内に亡くなっている。
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