マグナム の商品レビュー

ラッセルミラー(著者),木下哲夫(訳者)

2017/08/16

ロバート・キャパやアンリ・カルティエ＝ブレッソンらが設立し、
戦争や重大事件の現場を世に送り続けている写真家集団「マグナム・
フォト」。その成立50周年に合わせて出版された個性あふれる写真家
たちの群像である。

雑誌編集者のトリミングや束縛を受けずに、写真家が自由に活動できる
協同組合を作ろうとのロバート・キャパの発案で発足した写真家集団だ。

キャパは言うに及ばず、個々の写真家について書かれた本や、マグナム
としての写真集は何冊もあるが、集団としてのマグナムを捉えた本書は
貴重である。

写真家たちへのインタビューや、集団内でやりとりされた手紙なども
掲載されており、創設からの流れがよく分かる良書でもある。

それぞれに個性の強い写真家たちの集団が、一筋縄で行くはずもない。
予算を無視した取材旅行、ニューヨークとパリの事務所は仕事の在り方
で揉め、芸術写真家と報道写真家はスタンスの違いで軋轢を起こす。

写真集を作ろうとすれば、掲載点数に神経を尖らせ、レイアウトに文句を
言い、まとまるものもまとまらぬ。まるで幼児の集団である。

それでも、彼らが世に出し続ける写真は素晴らしい。私の愛機がライカ
なのも、モノクロフィルムを基本にするのも多分にマグナムの写真家たち
の影響を受けている。どんなに真似をしても、写真の腕は上がらないの
だけれどね。笑。