清潔文化の誕生 の商品レビュー
19世紀末までまったく衛生・清潔に関する観念が一般の人々になかったアメリカで、企業の衛生関連商品の販売戦略も含めて、いかに「清潔」が売り込まれて行き、人々の生活上のオブセッションとなっていったかを書いた社会学的な論考。基本的には面白いのだけれど、アメリカのこの手の研究所のほとんど...
19世紀末までまったく衛生・清潔に関する観念が一般の人々になかったアメリカで、企業の衛生関連商品の販売戦略も含めて、いかに「清潔」が売り込まれて行き、人々の生活上のオブセッションとなっていったかを書いた社会学的な論考。基本的には面白いのだけれど、アメリカのこの手の研究所のほとんどに見られるように、名も知れぬ誰か、「19××年にシカゴに移り住んだ○○によると」的な記憶の断片にも残らないような証言の多さには辟易する。それでもアフリカ系アメリカ人のおかれた状況、都市と農村の対比、企業の巧妙な戦略・・・それは石鹸会社からデュポンのような化学企業まで・・・など様々な角度から分析しているのは面白い。結果、思うのはフランス人もイギリス人もアメリカ人も19世紀末までは不潔だった。日本人は風呂好きで、日本に生まれて良かったかも? みたいなこと。
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