ドイツ国家学と明治国制 の商品レビュー
19世紀ドイツの学問状況の中でのシュタイン国家学の位置づけを問い直し、かつその異端的学問形態がどのように明治日本に輸入されたのかを解明する研究。全体のほぼ3分の1がローレンツ・フォン・シュタインの国家学の位置づけをめぐる議論になっている。もとより、階級社会現象に先駆的にメスを入れ...
19世紀ドイツの学問状況の中でのシュタイン国家学の位置づけを問い直し、かつその異端的学問形態がどのように明治日本に輸入されたのかを解明する研究。全体のほぼ3分の1がローレンツ・フォン・シュタインの国家学の位置づけをめぐる議論になっている。もとより、階級社会現象に先駆的にメスを入れた人物として、それなりに先行研究はある。しかし本書では、そのようなマルクス主義の先駆者としてのシュタイン像よりも、サヴィニーに端を発するロマニステンとヘーゲルの「法の哲学」との対抗関係、ベーゼラーからのゲルマニステン的視角の批判的継承にスポットライトが当てられる。ここで強調されるシュタイン像は、マルクス主義の先駆者・社会国家の予見者というものではなく、法制史学者・比較法学者というものである。このようにシュタインを捉え直したうえで、そのようなシュタインの視角が日本に対する関心と結び付いているという指摘が、後半以降の叙述の出発点になっている。後半では、伊藤博文などの相次ぐ「シュタイン詣で」、伊藤の憲法調査の詳細、国家学会の成立史など、シュタイン的国家学が日本にどのように受容されたのかが詳細に論じられる。伊藤が摂取したシュタインの要点は、国制Verfassungという言葉を実定憲法という意味でのみ理解するのではなく、それを支える諸制度とのセットとして理解する、というものであったと言える。その意味で、実定憲法の制定だけではなく、それに関連する内閣法制や行政法の整備、さらにそうした制度の運営に携わる人材を育成する場として教育機関が捉え直すなど、より広い意味での「国制」整備が明治期日本の課題になっていったということが説得的に示されている。
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タイトルから想像していた内容とは違って、伊藤博文を初めとする若き明治政府要人に膾炙するまでの史実の再確認ベースで、シュタインの思想そのものについて触れている部分はあまり多くなかったのは残念
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これは政治カテに入れてしまったが、どちらかと言うと憲法史的な位置にある書物だ。L・V・シュタインという一人の歴史法学者を追った著者の博士論文に加筆・修正されたものである。
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