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それでもやっぱり日本人になりたい の商品レビュー

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2014/10/12

グロータースさんと言っても一般の人はほとんど知らないかもしれないが、日本における方言地理学の父とも言える人である。グロータースさんは日本を愛し、日本人になりたいとさえ言った。それほど日本を心から愛した人である。ドナルド・キーンさんもそうだったが、日本を愛してくれる人たちは外国人に...

グロータースさんと言っても一般の人はほとんど知らないかもしれないが、日本における方言地理学の父とも言える人である。グロータースさんは日本を愛し、日本人になりたいとさえ言った。それほど日本を心から愛した人である。ドナルド・キーンさんもそうだったが、日本を愛してくれる人たちは外国人にもたくさんいるのだ。グロータースさんはカトリックの神父として(したがって生涯独身)日本で布教活動をしながら言語学者として大きな功績を立てた。グロータースさんはベルギーのオラン語地区で生まれる。本来アフリカ布教を願っていたが肋膜炎を患ったことで中国へ布教先が代わり、のち中国が共産化し再入国できなくなった結果、漢字を使う日本へ来ることになったというわけである。そして、そのまま半生を日本で過ごした。不思議と言えば不思議な縁である。その最初の布教先は豊岡、ぼくは一度しか行ったことがないが、ここは親戚がいるから名前を聞いただけで懐かしくなる町だ。グロータースさんはその後東京へ赴任先が代わり、国語研究所にいた柴田武さんと知り合うことで、20年にもわたって言語調査とかかわりを持つことになった。本書はグロータースさんの生涯のラフなスケッチとともに、日本人に対する暖かいまなざし、神とのかかわりを描いたものである。本書を読んでいるとグロータースさんの暖かさとともにおちゃめな性格が伝わってくる。

Posted byブクログ