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中空構造日本の深層 の商品レビュー

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29件のお客様レビュー

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2023/04/21

真ん中に「空」を置くことで、対極にあるものを、ある意味バランスを取るという考え方は、良くも悪くも調和を重んじる日本人的な気質を象徴するような考え方だ。 中でも聖書と神話の構造の違いの解説はとても興味深かった。

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2021/03/11

★★★2021年3月★★★ 東日本大震災から10年が経った。 本著は、日本神話の分析から日本人の特性、深層心理を明らかにしようとするものである。日本は「母性社会」であり、中心をもたず、あらゆるものを包括的に包み込むような特性があると筆者は述べる。 『古事記』で、アマテラス、ス...

★★★2021年3月★★★ 東日本大震災から10年が経った。 本著は、日本神話の分析から日本人の特性、深層心理を明らかにしようとするものである。日本は「母性社会」であり、中心をもたず、あらゆるものを包括的に包み込むような特性があると筆者は述べる。 『古事記』で、アマテラス、スサノヲと比してあまりにも存在感の希薄なツクヨミ。このツクヨミのような「無」の存在を中心に置くこと。そして、一方が他方を駆逐するような物語は日本では見られないこと。 これが「母性社会」日本の特徴か。 西欧は「父性社会」で、物事を分断して考える。 現代の日本で起きている家族の問題についても このような日本人の特徴をしっかりと考えて対処しなければいけない。 僕も気が付けば30代後半になり、子供2人。 人の心は分からない。今後、河合先生の本を読みながら考えることが増えそうな気がする。

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2021/01/21

もっと神話構造と政治・社会の対応だけに区切った分析なのかと思っていましたが、非常に幅の広い内容に驚かされました。

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2020/08/16

中心で統合するのではなく,周辺部の力の均衡を取る構造。 合力としての凝集性ではなく,正と負(陰と陽)の両面を以て一体とする。中心には空という核が想定される。その核は大きな力を持たない。 日本や西洋といった大きな対象について論じるが,個人にも同様の構造が認められるのか。 古事記...

中心で統合するのではなく,周辺部の力の均衡を取る構造。 合力としての凝集性ではなく,正と負(陰と陽)の両面を以て一体とする。中心には空という核が想定される。その核は大きな力を持たない。 日本や西洋といった大きな対象について論じるが,個人にも同様の構造が認められるのか。 古事記,おそるべし。神話,あなどりがたし。

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2018/06/11

Ⅰ 神話的知の復権/『古事記』神話における中空構造/中空構造日本の危機 Ⅱ 昔話の心理学的研究/民話と幻想/「うさぎ穴」の意味するもの/日本昔話の心理学的解明 Ⅲ 現代青年の感性/象徴としての近親相姦/家庭教育の現代的意義/偽英雄を生み出した「神話」/フィリピン人の母性原理 日...

Ⅰ 神話的知の復権/『古事記』神話における中空構造/中空構造日本の危機 Ⅱ 昔話の心理学的研究/民話と幻想/「うさぎ穴」の意味するもの/日本昔話の心理学的解明 Ⅲ 現代青年の感性/象徴としての近親相姦/家庭教育の現代的意義/偽英雄を生み出した「神話」/フィリピン人の母性原理 日本人の心の構造の特殊さを見せてもらった。言葉で表現することの難しさを横においておけば、なかなか面白かった。父性か母性か、外向か内向かという図式は大まかな性質を見るうえで分かりやすい。それぞれに納得したり疑問を持ったりしながらゆっくり時間をかけた読書をしましたw

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2017/12/18

「中空構造日本の深層」河合隼雄著、中公文庫、1999.01.18 274p ¥740 C1111 (2017.12.18読了)(2017.06.08購入)(2008.06.30/3刷) 【目次】 Ⅰ 神話的知の復権 『古事記』神話における中空構造 中空構造日本の危機 Ⅱ 昔話の...

「中空構造日本の深層」河合隼雄著、中公文庫、1999.01.18 274p ¥740 C1111 (2017.12.18読了)(2017.06.08購入)(2008.06.30/3刷) 【目次】 Ⅰ 神話的知の復権 『古事記』神話における中空構造 中空構造日本の危機 Ⅱ 昔話の心理学的研究 民話と幻想 「うさぎ穴」の意味するもの 日本昔話の心理学的解明 Ⅲ 現代青年の感性 象徴としての近親相姦 家庭教育の現代的意義 偽英雄を生み出した「神話」 フィリピン人の母性原理 あとがき 解説  吉田敦彦 (「BOOK」データベースより)amazon 日本人の心の深層を解明するモデルとして『古事記』神話における中空・均衡構造を提示し、西欧型の中心統合構造と対比させて、その特質を論究する。人間の内界を記述するものとしての神話・昔話、さらにはファンタジー作品などの分析を通して、人類の深い知恵を導き出す刺激的論考。

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2017/08/13

ユングの概要を読んで、日本人のメンタルについて知ってみたいなと思いこれを読んでみました。 すごい。私が生まれる前に書かれたものなのに、未だ色鮮やかにリーダブルな内容でした。 ビギナー用のユングの本を読んでからのこの本なんですが、 わたし、村上春樹さんが好きで、でも彼の言う「地...

ユングの概要を読んで、日本人のメンタルについて知ってみたいなと思いこれを読んでみました。 すごい。私が生まれる前に書かれたものなのに、未だ色鮮やかにリーダブルな内容でした。 ビギナー用のユングの本を読んでからのこの本なんですが、 わたし、村上春樹さんが好きで、でも彼の言う「地下二階」が、よくわからんのです。すごく危険なところで、そこに深く潜っていくと、「人」の奥深くで繋がる何かに出会える。(ようなもの)だという勝手な認識なんですが、深いところで人とつながることのできる何かって、すごく素敵だなぁと思う。でも、私には、そこの奥深くに潜っていく手立てというか、手段というか、そのようなものがよくわからんのです。 その一つの解決の糸口になりそうなのが、個人的にユングなんじゃないかと。そしてそこから、日本人のメンタリティと神話についてを深めていったら、私にも垣間見ることができるんじゃないかと思い、この本を手に取った次第。 一気に読んでしまったので、すごく自分の欲していた内容が書いてあったんだけど、まだ言語化できるほど読み込めていないので、もう一度読み解いていきたいと思う。

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2016/11/27

・人生とは全体性の回復である  -日本人は意識と無意識の境界があいまい。意識の中心である自我がうすい。それが神話にもでている?

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2016/10/24

中空構造日本の深層 筆者は有名な精神分析家の河合隼雄氏であり、近代以前の人々が、世界を認識する際に神話的な解釈をしてきたことを伝えることで、科学的解釈に偏りを持つ近代社会に、一つの世界観を与える上で、神話的解釈の知を言うものを提示している。社会は近代化したとはいえ、人間の精神が...

中空構造日本の深層 筆者は有名な精神分析家の河合隼雄氏であり、近代以前の人々が、世界を認識する際に神話的な解釈をしてきたことを伝えることで、科学的解釈に偏りを持つ近代社会に、一つの世界観を与える上で、神話的解釈の知を言うものを提示している。社会は近代化したとはいえ、人間の精神が変わったわけではない、そのため、今までの神話的知を科学的知のバランスを保つことが重要である。 日本の神話を読み解いていくと、「中空」の存在が発見される。何かを中心においてと思いきや、すぐにその対抗物が置かれ、それらのバランスをとることで、中心の空性を守ってきた性質がある。精神分析にとどまらず、男性的なものは何かを切る、女性的なものは包み込むという性質がある。丸山の日本の思想にも書かれているが、日本という辺境地域においいては、常に外来文化を取り入れているように見えて、結局のところそれは中止まで行くことはなく、中心の外縁で日本化されたものになっていく。男性原理か女性原理かでいえば、日本は女性原理の強い国である。これは古来のもので、昨今の日本で父権復興を掲げ、若者を鍛えなおそうという運動があるが、筆者は日本にはそもそも復権する父権そのものもがないという。戦前の父の強さは、家長制の中での役割的な強さであり、戦後に家長制がなくなることで、父の権力の脆弱性があらわになったと解釈することが可能である。 後半は、昔話の深層を良い説くもので、とても面白い。茂木健一郎の本にも書いてあったが、人間の脳は、確実なものと不確実なもののバランスをとるという。前近代の人間は、関あという不確実なものの割合が増えすぎないように、「物語」を確実なものとして採用していた。近代では、それが科学に変わったに過ぎない。そして、今でも、科学でもわからない不確実なことに対しては、やはり物語が採用されるのである。

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2016/03/01

去年Eテレで放送してた『100分de日本人論』で紹介されてて、うわあすごい面白そう!と思って、ようやく読み終わったのが、今。 すごい面白かったー! 今まで読んだ日本人論の中で、いちばん腑に落ちたかもしらん。 なんかこう、しっくりきてなかったとこがぴったり!すっきり!ッて感じ。 ...

去年Eテレで放送してた『100分de日本人論』で紹介されてて、うわあすごい面白そう!と思って、ようやく読み終わったのが、今。 すごい面白かったー! 今まで読んだ日本人論の中で、いちばん腑に落ちたかもしらん。 なんかこう、しっくりきてなかったとこがぴったり!すっきり!ッて感じ。 三部構成になっていて、上記の日本人論的内容は第一部。二部三部はいかにも心理学的な話で、私はすごく興味深く読めた。読みやすかった。 中学とか高校のときに心理学に興味を持ったのにフロイトで挫折して結局全然関係ない分野を専攻したけど、まず河合隼雄から入っとくべきだったね。 何冊か氏の本を読んでみようと思います。

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