レクィエムの歴史 の商品レビュー
レクイエムは好きである。 モーツァルトのレクイエムだけでも100枚以上の同曲異演盤を持っている。レクイエムで録音点数の多い、ヴェルディ、フォーレ、ブラームス、ベルリオーズ、ドヴォルザークなどのレクイエムはたくさん持っているし、ハッセ、ロッティ、ゼレンカなど、一般的には有名ではな...
レクイエムは好きである。 モーツァルトのレクイエムだけでも100枚以上の同曲異演盤を持っている。レクイエムで録音点数の多い、ヴェルディ、フォーレ、ブラームス、ベルリオーズ、ドヴォルザークなどのレクイエムはたくさん持っているし、ハッセ、ロッティ、ゼレンカなど、一般的には有名ではないレクイエムも何十曲と持っている。 これだけ集める間に本や雑誌、CDの解説などを読んでいるので、レクイエムに対する知識はある程度あり、本書の存在も知っていたが、本書は読んでいなかった。 なぜかと言うと、本書の著者である井上太郎氏が著しているモーツァルト本、たとえば「モーツァルトのいる部屋」などは読んだことがあり、その時に文章が固く、あまり面白味がなかったので、この著者の書いた本は相性が悪いと思い、避けてきたのだ。 今回は縁あって、読んでみることにしたのだが、やはり文章が固い。辞書のような文章で、羅列的な説明が多く、面白味は全くなかった。「○○○であった。○○○である。」という文章が多く、それを別の言葉で説明したり、まとめたりしないので、説明不足の感が否めない。また、ミサ曲のテキストなどの訳語の言葉選びが古く、現代的ではないため、わかりづらいという恨みもある。 本書は著者の集めたCDから133曲が紹介されているが、それはレクイエムと名の付く曲ばかりではない。シュッツの「音楽による葬送」や、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」、ベルクのヴァイオリン協奏曲、ショスタコーヴィチの交響曲第14番など、葬送行進曲を含む曲、死を意識した曲など広範に及んでいる。 巻末にはCD一覧が付いているが、なぜか日本語ではなく英語表記のため見づらい。こだわりがあって英語表記を使ったのであれば、読者のことを考えれば日本語と併記すべきではないだろうか。 また、CD一覧に対してページ番号がついておらず、そこから本文ページを索引できる様になっていない。そのため事典のように使うことはできない。 ここだけ見ても、読者に優しくない作りであることがわかる。 主にレクイエム、死に関する音楽を133も集め、解説した労作であることは認めるが、読み物として面白味がなく、事典のようにも使いづらいので、読者を相当選ぶ、お勧めしにくい本である。 死に関する曲をどれだけ知っているか、あるいはどれだけ持っているかを確認するためにはいいかもしれない。
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以前、レクイエムのCDを集めていました。 やるならここまで徹底してやらないとね。 わたしの好きな、ビクトリアやハウエルズ、ピツェッティのレクイエムが 評価されていて嬉しかった。 ゼレンカという作曲家のレクイエムは知りませんでしたが この本を読んで聞きたくなりました。
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レクィエムは死者の魂への呼びかけであり、そのこだまである。千年に及ぶ生者と死者との交響の歴史に耳を傾け、沈黙に還る音楽と死に戻る生の姿を重ねながら、響き止まぬ音楽の歴史の中に「死の意味」を考察する。 >>> 勉強になりました。 淡々と書かれているのがとても好...
レクィエムは死者の魂への呼びかけであり、そのこだまである。千年に及ぶ生者と死者との交響の歴史に耳を傾け、沈黙に還る音楽と死に戻る生の姿を重ねながら、響き止まぬ音楽の歴史の中に「死の意味」を考察する。 >>> 勉強になりました。 淡々と書かれているのがとても好印象。 (2010.11.29)
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