安吾と三千代と四十の豚児と の商品レビュー
「亡くなっていた人」ってこういう風に日常にあらわれてくるのか。もちろん書いていることによって彼らを意識していることもあるのだろう。ただ、ひとりのひとの日常を読み上げるときに「亡くなっていた人」「亡くなった人」がかかわる様子が新鮮で、本来坂口安吾と三千代さんのことを知りたい、という...
「亡くなっていた人」ってこういう風に日常にあらわれてくるのか。もちろん書いていることによって彼らを意識していることもあるのだろう。ただ、ひとりのひとの日常を読み上げるときに「亡くなっていた人」「亡くなった人」がかかわる様子が新鮮で、本来坂口安吾と三千代さんのことを知りたい、という情熱、思い出に対する郷愁、知識欲などを満たすようなものであるべきなんだろうか。わたしには、ひとりの人の死とのつながりに対する一考察になっていたように思え、面白い、というものでもないのでしょうけど読んでおもしろかった。みんなが忘れさせてくれない思い出や、不在との付き合い方、時間の力強さ、生きることの手ざわり、そういうものが背負っていく人や背負っていかない人の不平等なく、そこにあるんだろうか、という疑問も感じました。
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