映画に反対して(下) の商品レビュー
映画がすべからくここにはない幻想の、魔法の、硝酸銀の濃度から立ち上がる究極の物質世界であるはずなのに、ふとした瞬間に立ち上がる物語や感情といったものを一体どう分析できるのか。究極に産業化した映画には何の希望もない。映画もまたスペクタクルなのだ。しかし、かつて映画にあった、いまだな...
映画がすべからくここにはない幻想の、魔法の、硝酸銀の濃度から立ち上がる究極の物質世界であるはずなのに、ふとした瞬間に立ち上がる物語や感情といったものを一体どう分析できるのか。究極に産業化した映画には何の希望もない。映画もまたスペクタクルなのだ。しかし、かつて映画にあった、いまだなお映画の中に生きながらえているというあの瞬間に恋い焦がれた者ならばわかるだろう。なぜ死んだはずの映画を用いて映画の呪詛を伝えなければならないのか。あの輝きを、あの発光を、あの愛に導かれた瞬間についての映画を取り戻し、自ら葬るために。
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